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第193回:亡き親の土地相続で困惑
2014年8月29日
亡き親が所有していた土地を相続した兄弟がいます。このたび、兄弟間の話し合いで、この土地を売却することになりました。
土地の売却には兄弟全員が賛成で、問題はありません。問題は、売却後に税務署に申告して支払う税金です。亡き父はこの土地を戦前に購入しており、相続時に路線価という価格で計算した評価額で相続財産として計算し、相続税を支払っていますから、当然、自分たちは路線価で計算した評価額で取得したと思っていました。つまり、自分たちは相続税を支払ったのだから、相続財産として計算された価格で取得した、というのです。この理屈でいけば、今回の土地売却での税金はないということになるのですが、税法ではそうはなっていません。土地を売却した場合、売却代金から取得費、譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算し、そこに税率を乗じて税金を算出します。この売却代金から差し引く取得費が問題です。兄弟が言う「相続財産で計算された評価額を取得費とする」とは税法には書かれていません。税法は、土地を相続で取得したときには亡くなった親の購入価額を引き継ぐというのです。つまり、「亡き親が戦前に購入した金額を取得費とする」のですが、いくらで購入したかは兄弟全員誰もわかりません。この場合、「売却価額の5%を取得費とする」と規定されていますので、売却額のほとんどが税金の対象となってしまいます。
兄弟は、「当初ゼロと思っていたが、結局かなりの税金を支払うことになってしまった」と、困った表情を浮かべていました。
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