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ドライバーに求められる「資質」は 礼節やマナー、体力も
2014年9月18日
荷物とトラックがあっても、ドライバーがいなくては運送事業は展開できない。人材難が続いている現在、「だれでもいいから、応募があれば採用している」という話も少なくない。しかし、「トラックドライバーという仕事は事故を起こせば自らの命を失い、または人の命を奪う可能性のある大変な仕事。だれでもなれるという仕事ではない」という運送事業者もいる。運送事業者は現在、トラックドライバーに、どのような「資質」を求めているのだろうか。
「あいさつなどの礼節は重要」と話すのは、三栄急送(愛知県瀬戸市)の田中克視社長。ドライバーである以前に、人間としての礼節やマナーを備えているかが問われる。「あいさつは簡単なようで難しい。社員には常に声を掛け、コミュニケーションをとっている。黙って出発することのないように、必ず事務所に立ち寄らせている」と指導する。礼節が身に付くことで、社員の意識にも変化が出てくるという。「何も言わなくても、洗車を各人が率先して行っている。常にきれいに保たれている車両は当然、荷主からも評価される」と話す。「自らが考えて行動する」ということは、経営者が社員に求める重要な部分である。
同県内の別の運送会社社長。ドライバーに対し、「基本的なあいさつが出来て、指示通りのことを確実にやってくれれば、何も言うことはない」と話す。社長が危惧しているのは、過剰なサービスによって引き起こされるトラブル。フォークリフトでの荷下ろし時、本来の場所であるAの所を、良かれと思いBまで運んだために事故を起こすケースや、ドライバーが変わった時などは、引き継いだドライバーが事情を知らずに、本来の置き場所であるAに置いたのにもかかわらず、「前のドライバーはBまで運んでくれた」などのクレームが入ることもあるという。「製品事故を起こした場合は責任の所在の問題も出てくるだろうし、決められた場所に運んでいる場合でもクレームがある。良かれと思う気持ちも分かるが、指示通りに確実に動いてくれるドライバーが安心して使える」と求めるドライバー像を話す。
こちらも同県内の運送会社。「資質というのは与えられた才能や天性みたいなものだが、生きてきた環境にも影響される。運転や営業技術は比較的容易に教えることができるが、ドライバーとしての資質を求めるならば、長い時間を掛けてでも教育していく必要がある。同じ価値観を共有できるような社員になればいい。『ドライバーの資質=会社が求める資質』だと考えている」と独自の考えを話す。
同県内の運送事業者は「新人はとりあえず、3か月は助手席に乗せる」という。「その間に、自分がこの仕事をできるかどうか確認させる。当然、こちらも判断する。できなければ辞めてもらう」という。「ドライバーが務まるかはハンドルを握らせないとわからない。自信満々でもダメな人もいる」とも話す。
「凄腕ドライバーにはなれなくても、そこそこのドライバーにはだれにもなれる。運転は慣れ」というのは、三重県の運送事業者。岐阜県の運送事業者は「正直が何より」という。「正直かどうかは面接で何となくわかる。後は現場での評判を聞いて判断している」という。
「トラックが好きであること。これが一番」と語るのは、愛知県内の運送事業者。トラックドライバーは過酷な労働環境で、肉体的にも精神的にも耐えられる人でなければ長くは続かないという。しかも、昔と比べると、稼げなくなっている。「昔なら、稼ぐためだけにドライバーになる人が大勢いたが、今では難しい。そうなると、ドライバーとして働けるのは、トラックが人一倍好きな人ではないか」と同運送事業者は語る。
また、「絶対に体力が必要」と語るのは、同県内の別の運送事業者。「荷物の積み下ろしだけでも、かなり体力がいるし、しっかりと睡眠時間や休息時間を確保することも難しい。そういう状態での肉体労働はかなりつらい」と語る。「トラックが好きなら肉体的につらくても、少しは我慢して仕事を続けられるかもしれないが、長く続けるのは難しい。毎日運転していて、体のどこかが痛むというのは日常的なこと。これに耐えられるような人じゃないとドライバーは務まらない」。この運送会社では、トラックドライバーに憧れていたという人材を採用したが、数か月後には辞めてしまったという。話を聞くと、やはり「体が持たなかった。実際に仕事をしてみて自分には向いていないと思った」と話したという。「逆に言えば、体力さえあれば、どんな人にでもチャンスがある職業ではないか。体力に自信がある人を積極的に採用したい」と語った。
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