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    港湾運送 不足の認識にズレ

    2014年10月16日

     
     
     

    kobe_1013.jpg 「人手不足という話は聞いていない」(国交省・神戸運輸監理部港運倉庫課)。「経営者は人手不足を嘆いている」(ハローワーク神戸港職員)。距離にして1?と離れていない二つの役所が、港湾運送という同一の業界に対して相反する見解を表明している。港湾運送は、コンテナ陸送(ドレージ)業者はもとより、一般のトラックでも荷主が寄託している倉庫として積み下ろしに訪れるトラックが引きも切らず、密接な関係にある。そこでの人手不足がもたらす影響の一つが、トラックの荷待ちと指摘する関係者も多い。



     「大阪・南港。今日もひどいよ。午前10時半に並び始めて、まだ滞留トレーラの中にいる」。9月30日午後2時過ぎ。神戸港ポートアイランドの一角にあるドレージ業者の経営者は、うんざりしたり、ある時は声を荒らげたりしながら無線機と電話の声に耳を傾けていた。大阪港でコンテナを積むために並んだ自社のトレーラが、コンテナターミナルに入れず3時間半以上も待たされているというのだ。

     「コンテナターミナルは、我々が並んでいるときにはゲートを閉めて、必要のない時に開ける」。経営者はそう話すが、そうした規則はもちろんない。しかし、「並んでいるときにはゲートを開けなければいけないという規則もない。開け閉めはターミナル側の自由だ」とも。営業時間を独自に決めること自体、経営の裁量として認められるべきなのだろうが、それが物流のボトルネックとなりうるコンテナターミナルのような業態でも、はたして言えることなのか。

     別のドレージ業者は、ターミナル内でコンテナを荷扱いする作業員に、「ギャング」と呼ばれる10人程度の集団があることを指摘する。「船が入港したときは、係留に料金が発生するためギャングは本船荷役が優先となる。ギャングや、それを構成する作業員が減っていることももちろん、トレーラが滞留する要因だ」。物流のボトルネックにもなりかねない港湾運送業界で、果たして作業員やギャングの数は足りているのか。

     港湾運送業には、その許可を取得する際に抱えていなければならない作業員(労働者)数の下限が港ごとに基準として設けられている。国内6大港の一つ神戸港を所管する神戸運輸監理部によると、神戸港全体の一般港湾運送許可業者60社(許可数も60)が、法的に満たすべき作業員の基準数は1840人。これに対し今年3月末に各事業者から届けられた作業員数は4013人で、規程の2倍以上の作業員が届けられている。昨年3月末時点の届け出数4061人から減少しているとはいえ、満たしていることには変わりはない。

     では、本当に届け通りの作業員が実在するのか。神戸運輸監理部は実在するとだけ回答。しかし、隣接する大阪港の許可を所管する近畿運輸局によると、大阪港では一般港湾運送許可の基準数に実態として未達の状況があるという。

     昨年度監査した大阪南部の「阪南港」の港湾荷役業者2者。両者が満たすべき作業員は50人だが、監査では35人しかおらず未達だったという。大阪港での監査では、一般港湾運送業者17社(許可数は20)が満たすべき作業員の基準数379人に対し、監査でも394人が存在したが、かろうじて達成しているレベルだ。届け出作業員数は多く、実態はぐっと少ない。こうした構造はどこからくるのか。

     ある業界関係者は、港湾作業のいわゆる元請けに当たる一般港湾運送許可業者と、許可要件が軽く下請けに当たる港湾荷役業者など一般港湾業者以外の業者の関係に着目して説明する。「例えば、一般港湾業者が資本の4分の1以上を持つ港湾荷役業者の存在。そうした港湾荷役業者が元請け業者の作業を請け負えば、『元請け業者みずからが行った行為とみなす』という規定が法令にある。最大で3社までの元請け会社がそうした港湾荷役業者を共同で立ち上げれば、実際の港湾作業員は基準数のおよそ半分をそろえれば事足りる仕組み」。この説明は法令自体が作業員の事実上の貸し借りを認めていることからくる、いわば仮説ではあるが、論点は法は禁じていないというところにある。

     こうした法を所管する国交省はもちろん、厚労省でも港湾労働者が実際は不足しているという認識はほとんどない。毎年、厚労省が作成を義務付けられる「港湾雇用安定等計画」のなかでも、「6大港の常用港湾労働者数が2万8573人であった平成14年度以降再び増加傾向にあり、平成24年度においては3万2619人となっている」(平成26年度版)とむしろ、作業員数の増加を喧伝している。しかし、現場の職安では見解が異なる。神戸港の作業員数などを管理する「ハローワーク神戸港」(神戸市中央区)では、「事業者からは人手不足と聞いている。募集しても来ないと嘆いている」と話す。また、「業界全体としてはそうした声が、大きく扱われることはないように感じる」とも話し、実感とのズレを指摘する。

     同ハローワークの元職員は本紙取材に、「港運業界は閉鎖性が強く、縁故採用に頼っている」と話し、元職場の「常識」を指摘した。また、「神戸、大阪が戦略港湾として派手に宣伝されるが、労働者数が増えないなら戦略も絵空ごとになるのではないか」と話し、物流のボトルネックの前に「戦略港湾」が立ち往生する蓋然性を指摘している。

     あるドレージ業者は、「港湾は、労働者保護と称して港湾運送業そのものも保護されてきたと我々から見ると思える。人手の問題を問題としてきちんととらえきれていないうちは、我々のような外部に問題の症状があらわれてくる」と指摘し、人手不足問題を港湾業界が直視するよう求めている。

     
     
     
     
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