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    「仕事内容より職場環境の確立を」女性経営者・ドライバーの本音

    2014年11月17日

     
     
     

     国交省が女性トラックドライバーを「トラガール」と名づけ、女性の業界進出に本腰を入れ始めた。2020年までに現在2万人いる女性ドライバーを、4万人まで増やす計画を発表したほか、佐川急便も主婦パートを1万人採用する計画を打ち出しているが、多くの中小運送会社では女性ドライバーを受け入れる職場環境が確立されていない。女性ドライバーや女性経営者に運送業界での「女性の働きやすさ」などについて本音を聞いた。



     女性ドライバーに、運送業界で働いていて困ることを聞いてみると、仕事内容よりも職場の環境面が気になるという。滋賀県の女性社長は、「得意先で、まず目に付くのがトイレ。掃除が出来ているか、虫がいないか、仮設トイレでないか、いろいろ気になるところがある。社内でもトイレ掃除は念入りにさせている」と、職場の清潔感にも気をつけていると話す。

     同社は若手の女性ドライバーが多数在籍し、社長自身も女性という、運送業界には珍しい会社だ。ピンクカラーのトラックと、作業効率を考えドライバーが考案したつなぎの制服が女性ドライバーに好評だという。今後は託児所の設置も視野に入れていると同社長は話す。

     約20年前にドライバーをしていたという大阪府門真市の女性事務員は、「長距離ドライバーをしていた時は、トイレとお風呂に困った。最近は、大型車が止められるコンビニも多くなってきている。ただ、鉄鋼関係の会社には女性トイレは少なかった。トイレのない場所での荷待ちは恐ろしかった。交通渋滞は耐えられるが、大雪などの天災による渋滞は復旧のめどが立たず、どうしようもなかった」と、当時を振り返る。

     現在では、女性用のシャワー室や女性専用の休憩室など、トラックステーション、コンビニの設備も整っている。また、郵便番号などから多機能トイレを検索できるアプリなども登場し、出先でのトイレに困ることも少なくなってきている。

     大阪府東大阪市の男性社長は、「タクシーでは女性の進出がすすみ、介護タクシーや子どもの送迎タクシーなど、女性ドライバーならではの新たなサービスが生まれているのに、トラック業界が女性を活用しないのはもったいない」と話す。その上で「やはり、トラック業界にはまだまだ過酷なイメージがあり、女性の進出がすすんでいないのではないか。女性は出産や子育てで仕事を離れるなど、デメリットばかりが先行している。トラック業界は女性を受け入れなければ、人材不足は一向に解決しない」と業界を危惧する。

     前出の女性社長は「若い女性ドライバーの活躍で、ベテランの男性ドライバーも刺激を受けている。女性ドライバーは力では男性に負けてしまう。しかし、他の面で勝とうと真剣に仕事に取り組む。女性の負けん気の強さが他の社員にも伝わり、活気が出てきた。また、男性はドライバーしかやりたがらないが、女性は物流加工や事務などの仕事も引き受けてくれる。融通がきくのが女性採用のメリットなのではないか」と、女性の職種の選択肢の広さについて話す。

     大阪市東淀川区の男性社長は「当社にはまだ女性ドライバーはいないが、今後、女性の人材活用セミナーなどで情報収集し、女性ドライバーも採用していきたい。女性ドライバーは荷主に覚えてもらいやすく、コミュニケーション能力にも長けている。会社の環境改善を第一に優先してやっていきたい」と話していた。

     これまで運送業界では、女性ドライバーが働きやすいような短時間での交代や、育児をしながらの労働体系が考えられていなかった。女性の採用は、労働環境だけでなく労働時間も大きく影響する。時間を区切り、土日は休めるようにするなど主婦層が働きやすい環境にすることで、給与より休みをとる若い人材も集まりやすくなり、人材不足の改善も見込める。運送業界での積極的な女性進出がビジネスチャンスと考えられる。

     
     
     
     
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