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    年末の車両不足に備える「繁忙期の対策」例年より早めの傭車確保

    2014年11月28日

     
     
     

    truck1_1201.jpg 昨年末、急激に動いた荷物への対応で物流の現場では深刻な車両不足に陥った。事業者は高騰したスポット料金に沸く一方で、傭車確保のために利益度外視で仕事を依頼するケースも目立った。他方、荷主企業でも「基本的には孫受けまでしか認めていないが、そんなことを言える状況ではなかった」「あんなに車両が不足するのは初めてで、とにかくトラックが見つからなかった」というように、昨年末の車両不足は物流業界に強いインパクトを残した。あれから一年、今年もまた年末の繁忙期を迎える。今年の繁忙期はどのように臨むのか、対策が注目される。



     バンダイナムコグループの物流を担うバンダイロジパル(馬場範夫社長、東京都葛飾区)では「ヒット商品が出たこともあり、年末の繁忙期には物量が昨年の倍近くなる」と予測している。

     馬場社長は「より確実な配送を確保するために、できる限り自社のネットワークで運ぶ体制に切り替えていく」との基本姿勢を示す。昨年末の車両不足を教訓にメーカーとも協力し、「今までのデータから予測を立てて、先に運べる商品から各エリアの物流センターに運んでおき、現地で最終配送の調整をする」と、物流子会社の強みを生かし、ネックになりがちな幹線輸送で出荷が一時期に集中するのを防ぐ。さらに、エリア配送での傭車確保にも例年より早めに動き始め、「繁忙期はコストよりも確実に届けることを最優先にする」としている。

     また、家電大手のパナソニック(大阪府門真市)は「ボーナスシーズンの12月は販売のピーク」という。「年度末の駆け込み需要の反動で一時は落ち込んだが、第2四半期までの国内売り上げは昨年と同等の水準で、年末にかけても前年同様の需要を見込んでいる(同社広報)」としている。自動車や飲料、食品、日用品・雑貨といった業界でも、この年末は昨年末を超える物量になるとする予測は少なく、最終的には横ばいか、少なめの物量で推移すると見る荷主も多い。

     日用雑貨品などの複数メーカーで共同配送の物流を運営するプラネット物流(馬場純夫社長、東京都中央区)では、「4月以降落ち着いていた物量が年末に向けてようやく動き始めたが、昨年ほどではない」と、他の業界と同様の傾向を示す。しかし、ドライバー不足の影響から協力事業者には例年よりも早めの10月後半から台数を提示して車両を確保し、12月中旬のピークに備え「広域配送でも、1?車や1・5?車などの小さめの車両で複数回転させ、延べ台数を増やす」対策をとっている。これには「広域配送では2?車の路線便を使うことが多いが、それ以上になるとチャーター便になり、特に関東から東北、関西から中部や中国・四国となると帰り荷が見つかりにくいため」との背景がある。また、この方法ならば比較的配車もしやすいため、仕事を受けてもらいやすくなるからだ。幹線輸送を課題とする企業は多く、キッコーマン(東京都港区)では「CO2削減が目的でモーダルシフトに力を入れているが、付帯的に長距離トラック不足の解消にもつながっている」などの例もある。

     大手食品メーカーの物流子会社は、「物量自体は例年並み」としながらも、車両確保については「昨年末よりも厳しい状況になりそうだ」との見方を示す。「去年は、現場だけでなく本社の営業部の社員までが、ツテを頼りに車を探し、方々に電話を掛けていた」とし、「例年は10月から繁忙期の車両不足に備えている。実際には余分になる可能性があっても、台数を指定してその分の料金を支払い、傭車確保をしてきた。それでも特に冷凍車の不足は顕著」と言い、「現場ではさらに前倒しで車両確保に動いているが、年々車両の不足感は増しており、目標とする数を確保できるかどうかは微妙」という。こうした状況から、「数年先を見据えて自社便のドライバー採用を増やす」などの対策を講じている。

     今年の年末は、物量的には横ばい、もしくは微減という状況が多く見受けられるが、車両不足はますます慢性化しており、昨年末のような物流破綻寸前となる状況を恐れ、多くの企業が繁忙期対策に早くから乗り出している。車両不足は、確実に荷主や製造分野にも影響を及ぼし始めている。

     
     
     
     
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