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ヒアリに用心 騒動、全国に広がる
2017年7月7日
5月26日に兵庫県尼崎市で強い毒を持つ「ヒアリ」が発見されて以来、6月29日に名古屋港、同30日に大阪港でも発見されるなど、騒動は全国へ広がりを見せつつある。ヒアリは攻撃性が強く、刺されると呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こす恐れもあり、アメリカでは多くの死者を出しているという。ヒアリは中国からのコンテナに付着して運ばれた可能性が高く、物流関係者が作業中に刺される可能性もある。関係者にはさらなる注意が求められている。
兵庫県尼崎市においてコンテナから積み荷を取り出す際、ヒアリのコロニーが発見されたのが5月26日。コンテナは中国南沙港から運ばれたもので、同港と貨物の取り扱いがあった港は、神戸港以外では東京、横浜、新潟、直江津、伏木富山、清水、名古屋、大阪、広島、北九州、博多、那覇の12港。当初は神戸港以外でヒアリが発見されたという報告はなかったが、愛知県は6月30日、名古屋港「鍋田ふ頭コンテナターミナル」でヒアリが見つかったと公表した。名古屋港管理組合によると、ヒアリは同27日、コンテナターミナルの搬出ゲートで発見。コンテナの外壁に10匹程度おり、殺虫剤で駆除した。また、同30日に大阪・住之江区の南港でヒアリが発見され、7月3日の再調査で50個の疑わしいアリの死骸を回収。死骸の中には女王アリと思われる死骸も含まれていたが、環境省は4日、1匹が女王アリと断定。周辺に巣がないかどうか調べるという。さらに同省は5日、5月26日に尼崎市で発見されたヒアリの中に、女王アリが少なくとも2匹含まれていたことを公表した。国交省港湾局では「大阪港のヒアリ発見場所が南沙港のコンテナ貨物を通常取り扱う場所ではなかったものの、中国からのコンテナ貨物を多く取り扱う場所であり、南沙港に限らず中国からの定期コンテナ航路を有する港湾において、ヤードとその周辺区域にベイト剤(殺虫餌)を設置するなど、適切な対策を講じるよう要請した」としている。
環境省によると、「ヒアリは貨物などに紛れて、気がつかないうちに持ち込まれ、中国や台湾など環太平洋諸国に分布が急速に広がっている」という。アメリカでは多くの死者が出ていることもあって、日本国内でも対策が急がれている。日本港運協会(東京都港区)では、「国交省から、さらなる注意喚起を促されており、地区協会を通じて全事業者へ周知を徹底させた。水際で防止するしかなく、今後も注視していく」とコメント。「作業にあたっては十分に注意し、ヒアリと疑われるものを発見した場合は速やかに港湾管理者などに報告する」ことを求めている。
現在、ヒアリが発見されているのは神戸港と名古屋港、大阪港。首都圏ではまだ発見されていないが、東京都ではどのような対策が取られているのだろうか。都環境局によると、「ヒアリなどの外来生物の侵入を防止するのは難しい。どこからでも入ってくるので、100%防ぐ方法はないかもしれない。手段は早期発見しかなく、東ト協や関係事業者に注意喚起を行っている。トラックの中に紛れ込んでいる可能性もあり、積み荷を持った際に刺される危険性もある。ヒアリは攻撃性が高く、物流業界の皆さんは安全のため、一人ひとりがしっかり注意してほしい」とコメントしている。同港湾局では「ふ頭の点検と合わせて、関係事業者への注意喚起を行っている。ヒアリの危険性を周知させ、発見次第、連絡するように求めているが、いまのところ報告はない」としている。
環境省では、神戸港以外に名古屋港でもヒアリが発見されたことで6月30日、山本公一環境大臣が「全国の主要7港で生息の有無を再確認する」と発表。7月4日には、大阪・南港でヒアリが発見されたことで山本大臣は「水際でしか見つかっていない。防虫に注力する」とコメントしている。同省ではヒアリに刺された場合の対処法として「ホームページの『ストップ・ザ・ヒアリ』に詳しく載せているが、刺された場合、人によって症状がさまざまで、軽い場合も重い場合もある。しばらくは安静にして症状を見守る必要がある」としている。同サイトによると、ヒアリに刺された場合、軽度は刺された部位の痛みやかゆみ、中度はじんましん、重度は呼吸困難や血圧低下、意識障害で「急激な容態の変化が現れたら、すぐに病院へ行く」ように指摘している。特にアナフィラキシーショックの危険性のある場合、前もって医師に相談してアレルギー反応を緩和するために「アドレナリン自己注射キット・エピペン」を用意しておくことも可能という。「ヒアリ」と遭遇する可能性のある事業者は、十分に注意する必要がある。
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