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阪神高速 トレーラで走行したはずが、表示は『中型車』に
2017年7月7日
トレーラで走行しているにもかかわらず、高速道路の通行表示が「中型車」と表示され、それを荷主から指摘されたとしたらどうだろうか。一つ間違えば信用問題にもつながりかねない。そういった状況が近畿エリアで日常的に使用される阪神高速道路であることがわかった。高速道路側もそれを認識しており、「料金所施設の関係上、正確な料金を案内できない」と説明しているものの、運送事業者に周知徹底ができているとは言いがたい状況だ。ほとんどの運送事業者が「まったく知らなかった」という状況では、不測のトラブルも発生しかねない。
大阪市の運送A社は先日、荷主から急な輸送依頼を受けた。高速料金は別途支払うとのことで、大阪市内の車庫からシングルデフトレーラで目的地まで阪神高速を利用して輸送。荷主から高速料金の提示を依頼されていたため、同社ではデジタルタコグラフと連動している高速料金を荷主に示した。すると荷主から質問があった。その内容は「トレーラで輸送しているということだったが、高速料金は中型車の表記となっている。トレーラで輸送していないのか」と言うもの。A社は慌ててETCと連動しているデジタコのデータを確認すると、やはり中型車での通行料金表示。初めは機械の不備と考えていたが、阪神高速道路のホームページには次の記載があった。驚くことに、「トレーラご利用のお客様へ」として、料金案内ではけん引なしの車種で通知するとし、けん引車がシングルデフトラクタの場合は中型車(実際の請求は特大車)、けん引車ツーデフトラクタの場合は大型車(同特大車)で請求するとされている。高速道路会社の説明では、「阪神高速のETCレーンでは料金所施設の関係上、実際のけん引状態を把握したうえで料金案内を行うことができない」「けん引の有無にかかわらず、けん引なしの車種料金で表示される」「正確な料金を知るためには、ETC利用照会サービスで、通行後4、5時間程度で表示される明細書から、けん引状態を反映した料金が確認できる」などと説明。さらに「どうしても走行直後に利用明細が必要な場合には、料金所で一般もしくはETC・一般併用レーンで一時停止し、係員にETCカードを手渡して、けん引状態を反映した利用証明書の発行が受けられる」としている。
A社は状況が把握できないことから、大ト協に連絡。担当者に阪神高速の状況について、ト協から説明を求めるべきだと説明。阪神高速道路は大ト協に対して「阪神高速では入り口から料金所までのスペースや面積が少なく、センサーが適切に判断しづらいことからシステムに対応ができていない」と説明。さらに今後、システムの適正化については時期を明確に出来ないという。大ト協では今後、会員に対して阪神高速道路のシステム状況について周知を図るため、広報誌に阪神高速のチラシを同封して送付、周知を徹底することとしている。A社は阪神高速と大ト協の説明を受けて「1日に1台当たり4回、阪神高速をトレーラが利用する。単純に20日で計算すると、50台で4000回の利用明細が存在し、それを計算するのは大変で大幅な時間・コスト増につながる」と不満を漏らす。
阪神高速を利用し、100台以上の車両を保有する和泉市の運送B社は「まったく(トレーラが中型車・大型車で表示されていたと)知らなかった。阪神高速道路の周知の仕方にも問題はあるが、すぐに高速料金を示す必要がないので、いまのところは問題なかった」としている。また、トレーラやトラックなど約100台を保有する堺市の運送C社でも「知らなかった。会社側の判断で阪神高速などの高速を利用するか判断するため、今のところ混乱はない。ただ、混乱がないといっても、料金が正確に表示されることが望ましい」と話す。
幸いトラブルは一部の運送会社だけで済んでいるが、多くの運送会社では把握しておらず、阪神高速道路の周知のあり方に疑問を抱く運送会社は少なくない。
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