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物流ニュース
代引規制強化に断固反対 東路協・松永常務
2008年10月23日
金融庁が「代金引換サービス」の規制を強化しようと動いている。東路協(有富慶二会長)の松永正大常務は「根拠の薄い不当な規制強化で、断固反対」と強調する。
金融庁が主張する規制強化の理由は3点に集約される。1つは「消費者保護」。運送事業者が倒産した場合、「消費者の権利を保護する制度がない」というもの。このため代引サービスを行う場合は「前払い式証票規正法で定める『供託金』制度を適用する」という。
第2に「マネーロンダリング(資金洗浄)」対策で「代引は『資金移動サービス』。犯罪収益移転防止法に基づき金融機関に準じて10万円超の現金決済では売り手、買い手の本人確認と資料・記録の保存が必要」というもの。
第3は「参入規制」で「悪意の運送事業者の参入による市場の混乱を防ぐため『届け出制』を導入し、定期的な査察や報告書の提出を義務付ける」方針だ。
これらに対し、松永氏は「消費者保護の名を借りた無意味な規制強化であり、見方を変えれば単に金融庁と既存の金融機関の権益拡大策とも受け取れる」と憤慨する。供託金制度が導入されると「期末の預かり残高の50%ということで、ヤマト運輸と佐川急便の2社だけで500億円に上る。供託にかかるコストや銀行保証費などが経営を圧迫するのは必至。運送事業者に打撃を与えるだけで消費者には何のメリットもない」と指摘する。
供託金を一時的に預かるのは金融庁だが、それを銀行に預けると同庁には1%の手数料が入る。500億円なら5億円で大きな「財源」となり、当然だが預かる銀行も儲かる。
「マネーロンダリング対策とは話にならない。代引の平均取扱額は1万3069円。お金を洗う人は何百万円、何千万円単位以上でやるはず。常識的におかしい」と一蹴。
金融庁も、この点では「最近、消極的になってきた」という。参入規制については「国交省の許可を受けて各社とも運送事業を展開しており、『代引』はその付帯業務。参入規制は二重規制となり大問題」と考える。
東路協・松永常務
6日、経産省産業構造審議会の「商取引の支払いに関する小委員会」に出席し、東路協の反対理由を改めて説明した。同小委は金融庁の規制強化の動きに対し、産業活動全般を所管する立場から経産省としても独自に検討するため設置。松永氏はその委員の一人。「一人暮らしのお年寄りなど通販、代引を安全・安心な生活の手段として利用しており、消費者団体代表も『代引規制反対』の声を上げてくれた」と喜ぶ。
代引規制の強化は「特積みだけでなく、全国各地で同様の事業を展開する多くのトラック事業者に影響する。業界全体の問題として取り組みたい」と松永氏。
金融庁は11月末までに法案を取りまとめ、年明けの通常国会に提出、成立させる構えだ。「現状では問題は起きてないが、指摘のあった点を含め『自主ルール』を策定し、これまで同様、消費者に満足される代引サービスを行っていく」という。
(土居忠幸記者) -
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