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物流ニュース
疑問だらけの高速料金…中型車は「11t未満」に変更を
2008年11月7日
「高速道路の料金区分を中型車は11t未満にすべき」と静岡県の運送事業者。昨年6月から始まった中型免許制度は、車両総重量5t以上11t未満の部分を「中型」と設定したが、高速道路料金の車種区分の変更はなかった。
つまり、高速では同8t以上25t未満が大型車で、中型車の定義は依然として同8t未満のまま。各高速道路会社が料金区分の見直しを行わなかったためだ。
トラックメーカーからは中型免許に対応した車が出回っている。しかし、業務効率を上げるため運送事業者が中免の上限ギリギリのトラックを導入すると、高速道路は大型料金を徴収されてしまう。
「中型の上限いっぱいのトラックを購入しても『運賃は4tで高速料金は大型』というジレンマに陥る」と同事業者は憤る。
一方で、実際に中型免許対応トラックを購入した事業者でないとこの問題に気づきにくいこともあり、現在は「11t未満への拡大」を求める声は、それほど高まっていない。
大型車は中型車より料金が37.5%高い。東名高速道路の東京―名古屋間を往復すれば金額にして6200円の差が出る。これでは「中型料金で乗れる総重量8t未満のトラックを乗り続けたほうが得」となりかねない。
現行の「大型車」区分では8tと24tが同じ料金だが、1t程度の違いしかない「普通車」と「軽自動車」が別の区分となっており、20%も差がある。「11t未満の部分を中型料金にしても問題ないはず。むしろ、その方が公平になるのではないか」と指摘する。
さらに、別の問題もある。大型料金適用を嫌って中型対応トラックが普及しなければ、「中型上限いっぱいに積めるはず」と考える荷主とズレが生じ、「過積載をしてでも中型料金適用の8t未満(旧普通車)のトラックで中型免許上限いっぱいの荷物を運ぼうとする事業者が現れるかもしれない」からだ。そうなれば事故防止のために新設した中型免許制度が、過積載という別の違反を増やす原因となりかねない。
中日本高速道路(矢野弘典会長、名古屋市中区)によると、「今のところ、料金区分を見直す考えはない」という。料金区分の設定は各高速道路会社が国土交通大臣に届け出をして許可される。直近では、1989年に料金区分が「普通」「大型」「特大」の3つから、新たに「軽(二輪車を含む)」と「中型」が加わって5区分となった。
現在の「中型」区分はナンバープレートの「中板」の定義に合わせて設定されたといえる。軽自動車が別料金となったのもナンバープレートの区分を根拠としている。高速道路会社は「ナンバープレートの大板、中板の区分が変更されなければ料金区分は見直さない」としている。
今まで普通車と同じだった交通違反の反則金も大型と同じになり、ドライバーの確保も難しくなる中免制度。このままでは運送事業者に「百害あって一利なし」ではないか。(中道幸男) -
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