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物流ニュース
【特別座談会】ニーズ高まる「TAPA」(3)
2008年12月24日
【出席者】
日本ヒューレット・パッカード/北島善吉氏
損保ジャパン・リスクマネジメント/柳沢芳太郎氏
SGモバイルサポート/一蝶茂人氏
綜合警備保障/永野正氏
LRQAジャパン/原田靖雪氏
西日本鉄道/苅田敬三郎氏
三菱電機システムサービス/木内保幸氏
司会=TAPAアジア日本支部/浅生成彦氏
浅生「日本HPさんの近隣でTAPAを強く意識されている荷主はありますか」
北島「いまのところ聞いていません。実は、当社でも『倉庫で物が紛失した』ということはありません。では、どこで紛失するかというと、ノートパソコンなどはお客様に配達する途中で紛失するケースがあります」
浅生「私も大手電子機器メーカーの倉庫を見に行ったことがありますが、『1台のカメラも付いていない』と胸を張っていました。だから、『見に来ても参考にならないよ』と」
北島「そのぐらい日本の倉庫のセキュリティレベルは高いんですね。アメリカから来たオーディターが倉庫前にオートバイが置いてあるのを見て、『日本ではなくならないのか』と聞いてきますので、日本は安全なんだなという認識は持っていると思います」
浅生「では、日本でも、現実にどのような事件が起きているのかALSOKさんにお聞きます」
永野「犯行グループは侵入する際、一般的にはガラスを割って、扉を開けて入ります。しかし、扉を開けるとアラームが鳴ることを知っている場合、ガラスをそのままに、ゴムを外してから、その後にガラスを外して入ると扉のアラームは鳴りません。もちろんそれを防ぐために、中にセンサーを設置しますけれども」
浅生「解雇した従業員にまつわる事例はありますか」
永野「ある給油所であったケースですが、鍵の管理が甘かったから起こった事例があります。通常、鍵というのは所持する、携行するというのが鉄則なのですが、そのスタンドでは『保管していた』と言いながら、実際は机の中に入れていただけでした。ある夜、そのガソリンスタンドの屋外に置いていたゴミ箱でボヤが起きました。マネジャーが火を消しに行ったのですが、消し終わって戻ったら金庫が開いている。机の中にあった金庫の鍵で開けていました」
永野「火をつけてマネジャーを外に出し、その間に金庫を開けたんですね。泥棒が机の中に鍵があると気がついたのか、そんなことはありません。知っているから短時間でやれたのです。それは解雇された、以前に勤務していた元従業員がやった犯行でした。鍵が常に携行されていれば起きなかったことなのですが、そういうマネジメントの弱いところを見て、人間は犯罪を起こします。TAPAのようにマネジメントがしっかりしていると、そんな犯罪は起きにくいはずなんですね。やはりこの基準があるとないとでは、天と地ほどの差があると思われます。いくら防犯システムがあっても、TAPAーFSRのような基準がないと、こういうことが起きてしまうということです」
浅生「日本では、過去の犯罪歴を警察に問い合わせても答えてもらえませんが、アメリカでは州法によりますが、セキュリティ会社が警察に問い合わせると、過去の3年間や5年間の履歴を出してもらえます」
浅生「西鉄さんにお聞きしますが、代表的な施設で、認証にかかった期間は、どの程度でしょうか」
苅田「規模にもよりますが、05年当時に5000―6000平方mの施設で計画から約1年でした。計画で半年、実際の工事は計画策定から約半年。いまは計画条件なども、ずいぶん変わっているでしょうけれど」
浅生「実際の期間というのは、三菱電機システムサービスさんではTAPAクラスAで、どのぐらいを予定しているのでしょうか」
木内「5000坪から1万坪の施設ですと、見積もりとかいろいろな調査をして、やはり実行計画がGOになったときから、6か月から7か月かかると思います。施設工事は、決まってしまえば3か月もかからないケースが多い」
浅生「一般的には、2か月くらいが大半ではないでしょうか」
木内「むしろ、倉庫のオペレーションに関する運用や教育の方が、時間がかかると思います。従業員だけでなく、ドライバーやいろいろな業者が出入りしますので、この人たちに対する教育に時間がかかると思います」
司会を務めた浅生氏
(つづく) -
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