-
運送会社
エーザイ物流・成瀬社長「命を守る、医薬品物流の使命感」
2009年1月14日
エーザイ物流(成瀬登社長、神奈川県厚木市)は医薬品物流分野で高い評価を得ている。製薬会社エーザイの物流子会社として設立された同社は、親会社以外の製薬会社とも取引が増加。現在、物流を受託している製薬会社は15社で、売り上げ全体の2割を占める。
医薬品物流について成瀬社長は、「生命にかかわるものであり、患者さんの命を守る使命と責任がある」と強調。「使命感のない仕事は面白くない。患者さんとご家族のために何ができるかを考え、仕事にやりがいがある分だけ物流品質も高くなっていった」という。医薬品物流の根底にあるのは、「物流コスト削減」などではなく、必要としている人に必ず届けるという使命感だ。
その典型例が北海道の物流センターである。利益率では不利な条件の同センターだったが、「どんなことがあっても北海道は撤退しない」と決めて存続させた。
これには理由がある。本州からの輸送で使用するフェリーが欠航した場合など、北海道の患者に必要な医薬品が届かない恐れがあるためだ。医薬品が届かなければ患者の生命にかかわる場合もある。こうした事態に備えるためには、ある程度の物量を保管できる物流センターが必要だとして存続させた。この北海道の物流センターは現在、他の製薬会社の物流も受託が増えている。
医薬品はコスト削減を目的とする在庫削減ではなく、リスクヘッジとして在庫を確保する傾向になっている。同社が取り扱う物流量も、前年比で一五%増加している。これまでの倉庫では手狭になり、近くの倉庫を借りて対応してきたが、今後は倉庫も集約化していく予定だ。
物流量が増える背景には、医薬品工場のリスク回避という点もある。大規模地震など様々な条件で工場が長期間停止した場合、医薬品が不足することが懸念される。こうした事態を回避するために、ある程度の物量は備蓄しておくことが必要という。
また、医薬品物流は荷扱いも最高品質が求められる。外箱に少しキズが付いただけでも使用できなくなり、丁寧な取り扱いが必要で、薬品の温度管理にも厳重な輸送が求められる。
全国で20社ほどの運送会社が同社の輸送を担当しているが、各社へ査察を行うなどして品質を高めている。事故が発生した場合だけでなく、定期的に査察を行っていくことで、運送事業者の荷扱いも非常にレベルが上がってきたという。
同社に物流をアウトソーシングしてきた製薬会社のためにも、運送会社の教育は徹底している。輸送品質を維持するためには、こうした査察や教育を繰り返すことが重要であるため、運送会社各社との取引は長い。
成瀬社長は「今後も顧客満足度向上を目指していきたい」としている。
成瀬社長 -
-
-
-
「運送会社」の 月別記事一覧
-
「運送会社」の新着記事
-
物流メルマガ