軽貨物運送ドライバー向けの業務委託料前払いサービス「ＰＡＹＳ（ペイズ）」。働いた売り上げをスマートフォンアプリによって、すぐに受け取ることができるというサービスを開発したのは、神奈川県横浜市に本社を構える軽貨物運送会社のＭＩＲＡＩＳ（ミライズ、重松宏志社長）。

開発の背景には運送業界の人手不足を解消したいという意図があったという。ドライバーを採用する際に妨げとなっていたのが運送業界ならではの支払いサイトの長さだった。「日払いや週払いを希望する声はこれまでも多かった」と同社長は話す。日払いや週払いを可能とするスキームを組み立てるように検討したが、経理的な煩雑さとミスを犯すリスクが壁となった。また、協力会社からは「ニーズはあるが、日払いや週払いをする資金的な余裕がない」との声も聞かれた。

この課題を解決するために着目したのが専用アプリの開発だ。運送会社としては、前払いの相談があった際に対応する手間が省けるほか、煩雑な経理業務から開放され、ミスが減る。利用料の支払い期限を選べるため、資金繰りで悩む必要がない。

しかし、同社長は「一番のメリットは『日払いや週払いが可能』と求人にうたうことができること」と強調。軽貨物運送業界特有の長い支払いサイトの問題からドライバーを開放することで、異業種からの参入障壁を下げる。手数料の負担割合を運送会社とドライバーの間で自由に設定できるようにしたのもそのためだ。ドライバー満足度を重視したい企業は、手数料を会社側で負担することもできる。

自社グループだけではなく、広く業界で使ってほしいという考えは開発の初期からあった。根底には「運送業界のイメージを変えたい」という強い思いがある。同アプリの開発をサポートする神奈川産業振興センター事業部経営支援課の佐野博輝主査は「今後、社会情勢の変化の中で、免許があれば始めることができるドライバーに注目が集まる可能性もある。お金の不安が減ることは求職者の安心につながる」と指摘する。

働いた売上をすぐに受け取り

ＭＩＲＡＩＳが開発した、軽貨物運送事業の個人事業主（委託ドライバー）向けの業務委託料前払いサービス「ＰＡＹＳ（ペイズ）」は、この５月からサービスを開始した。

ドライバーは支払いサイトにとらわれることなく、働いた売り上げをすぐに受け取ることが可能となる。専用アプリをから申請後、即日で指定口座に入金される。金額は任意の金額を指定可能。スマートフォンアプリを使ってドライバーが直接入力することができるため、運送会社は煩雑な経理業務から開放される。

初期導入費や月額保守費は無料。システム利用料のみで導入・利用が可能。システム利用料は前払い申請額の６％で、運送会社とドライバーで負担額の割合を０.１％単位で可変できるなど、企業の方針に合わせたフレキシブルな利用ができる。運送会社がＭＩＲＡＩＳに支払う期日は４５日と６０日が選択できるため、支払いサイトや企業の実態に応じて最適な運用が可能となっている。

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