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ブログ・小山 雅敬
第185回:女性ドライバーの活躍・定着に向けた具体例
2020年6月15日
【質問】女性ドライバーの採用を検討しています。女性ドライバーに活躍・定着してもらうための環境づくりや同業他社が行っている具体例があれば教えてください。
国内の労働力人口に占める女性の割合が年々高まる中、運送業界は相変わらず女性ドライバーの占める比率が約2%と低調のまま推移しています。しかし、最近になり、深刻な人材不足を背景に、女性の採用・定着に向けた動きが出始めています。
弊社の関与先運送会社では、女性ドライバーの採用に積極的な会社と消極的な会社に二極分化していましたが、最近になり、真剣に採用を検討する会社が増えてきました。積極的な会社の中には女性ドライバーを20人以上雇用している会社が複数あります。関与先企業の中で女性の活躍・定着に取り組んでいる会社の具体的な事例を挙げると次のとおりです。
地方都市に所在するA運送は、まず事務所内のトイレの改修から取り組みました。トイレや更衣室、休憩室を男女別に分けることは当然のことです。
また、別のB運送は、子育て中の女性ドライバーのために短時間勤務制度を導入し、併せて賃金に時給制を導入しました。短時間勤務に歩合給はなじまず、既存社員の体系とは区分して別体系を新設したものです。女性ドライバーは比較的安定した給与体系を望む傾向があり、複数の賃金体系を導入し、選択制にすることで解決につながることがあります。
主要都市の近郊に所在するC運送は制服の全面的な改定に取り組みました。以前は紺色上下のつなぎ服でしたが、それを赤と黒のツートンカラーに変えました。作業服は機能性が第一ですが、最近の若者や女性の中には、仕事着にもデザイン性を求める傾向があり、応募を増やすための対策として検討したものです。
また、首都圏の中核都市に所在するD運送は、特に女性の活躍・定着に熱心な会社であり、毎月定期的に女性懇親会を開き、女性の率直な声を聞いて、職場の改善に努めています。軽食をとりながらの社長との意見交換は本音で話すことができ、会社が要望事項にきちんと回答を出すため、会社に対する信頼感の醸成と定着促進に役立っています。
関東近郊に所在するE運送は、厚労省の女性活躍企業の認定制度である「えるぼし」認定を県内の運送会社の中で、最初に取得するべく準備を進めており、女性を積極的に管理職に起用する計画です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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