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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(300)人材育成について(11)A社の事例(1)
2020年8月10日
・優しさと厳しさ
今回は、私が経営コンサルタントとして直面した、OA機器販売会社A社の組織変革のプロセスを紹介する。人材育成にとって、トップの優しさと厳しさの大切さが、今回のポイントである。
A社は社員5人のOA機器(パソコン、ファクシミリなど)の販売会社で、社長は45歳、大手企業を脱サラして5年前に創業した。社業は順調に伸びていった。社長はずば抜けた営業力の持ち主である。得意先の開拓は社長の仕事で、あとの社員は、いわば社長のアシスタントである。社員構成は経理面が社長の奥さん、内勤事務、電話対応に女性1人、あとの2人が男性で、営業担当である。2人の営業担当は20歳代である。
この2人の営業担当が、入社1年にもならないのに、あいついで退職するという事態が起きた。
A君は入社11か月、25歳の青年である。社長に結婚の仲介をお願いして、10日間の新婚旅行から帰って、3か月後に退職ということになった。直接のきっかけは、得意先との応対のまずさを社長に指摘されたことである。得意先のメンバーとの会食の際、A君は接待役を務めず、自分勝手に会食していた。帰りのタクシーの中でのことである。
社長「A君、今日の君の態度は何だ。相手の社長に対する気配りもなく、ふんぞり返っていたではないか。こんなことでは一人前の営業マンになれないぞ。こんなことでは話にならんよ。辞めてしまえ」。社長としては、厳しく言い放った。もちろん辞めるなどと口走るとは夢にも思わなかった。
A君「わかりました。辞めます。○△月いっぱいで辞めさせてもらいます」。突然の申し出にびっくりすると同時に「何を言うか」と腹を立てた社長は「辞めたいならすぐに辞めてしまえ。今日限りで辞めろ」。A君「それでは会社へ帰って自分の荷物をまとめます」……。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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