-
ブログ・高橋 聡
第183回:令和時代の運送業経営 BtoB、BtoC物流の現状(2)
2020年10月15日
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしてまいります。
弊社のお客様と話をしていると、「最近、運賃競争・ダンピングが頻発している」といった声を聞くようになってまいりました。
運賃に関しては、平成29年11月には「運賃」と「付帯作業」「待機料」などの区別が明確化され、さらに今年4月には国土交通省より時間外労働規制960時間の導入に向けて標準的な運賃の「告示」があり、運送事業者にとっては売り上げの増加につながる改正が進んでいましたが、今回のコロナ禍においてその流れが一変している状況です。
BtoB物流においてはメーカーの減産や業績見通しにより定期便・専属便についても物量の減少や運賃見直しの契機になっており、BtoC物流については帰り荷や二次請けの荷物についての相場が20、30%あるいはそれ以上下がっているとの声を聞きます。
ドライバーの休業に関しては「雇用調整助成金」を活用する事で実質負担はなく、手元資金については燃料代が低く推移していること、政府系金融機関や保証協会を利用した民間金融機関が実質無利子融資を積極化しているため、一定額は確保できている会社が多いですが、今後の利益見通しは売り上げ減の影響が大きく弱含みとなっています。
ドライバー数はBtoB物流においては「充足」か「余剰」の会社が増えています。一時期出荷が止まっていた鋼材関係は現場が稼働し始めるなど、徐々に状況は改善していますが、製造業は全般に減産基調にあること、今後、感染状況が再拡大していくと現場がストップすることもあり得るので予断を許さない状況です。このため運送業のドライバーも余剰感があります。一方BtoC物流については外出自粛、テレワークの進展もあり家庭内消費が活性化し物量が増加し、ドライバー不足になっている会社があります。ドライバーの採用に関しては旅客関係やBtoB分野からの流入、工場ワーカーといった異業種からの転職など労働移動が活発化しており「採用しやすい」状況となっています。
しかしながら面接に来るドライバーには「採用すべき」ドライバーと「採用すべきでない」ドライバーの2種類がいます。
次回、コロナ禍での「採用」に関する留意点について解説します。
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
「ブログ・高橋 聡」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 聡」の新着記事
-
物流メルマガ