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    経営再生物語(312)人材育成について(15)A社の事例(1)

    2020年11月9日

     
     
     

     ・評価の大切さについて

     

     人材育成にとって、評価基準をレベルごと、職種別に明確化して、定例的に(通常は6か月ごと)実施するのは大切なポイントである。プロ野球の世界において1年に1回、年収を決める際に査定するが、これは評価の仕組みとして適切である。なんとなく良くやったとかいう、あいまいな印象で査定したら、プロ野球は成り立たない。打者であれば、打率、ホームラン数、打点などの数字をベースに、チームへの貢献度を加味して査定し、評価する。こうした評価制度を土台として一流のプロが育成されていくのである。ビジネスの世界も同様である。

     A社は人員40人、業歴30年の印刷会社である。A社の社長が私に経営相談されてきた。2代目になったばかりの30代の社長である。

     A社長「私のところは古い会社ですが、活気のとぼしいところです。幹部として部長2人に課長3人の計5人がいますが、いずれも私より年上で、先代につかえてきた人ばかりです。これから会社運営するうえで、何から取り組んでいったらいいでしょうか」。私「社長のところの社風はどんなですか」。A社長「一言でいえば家族的で、ナアナアです。組織というより、家族集団です。部長、課長と名前のついた人がいますが、これも対外用です。部下がいません。みんな、それぞれ得意先を担当しています。この5人の幹部がいなくなると、本当に困ってしまいます。後任がいないのです」。

     社長の相談内容は、如何にして会社を活性化させ、幹部を育成していくかどうかということである。幹部といっても、名前だけである。そもそも、A社には組織図もない。先代の社長が営業、経理、製造の各部門の責任者として活動していて、現在の幹部は、先代の方針通り働いてあれば良かった。2代目社長の悩みは深い。

     そこで組織づくりを提案した。まず形をつくる。そして魂を入れる。形をつくる為に、職務調査を実施した。役割分担をはっきりさせることとした。職務調査で判明したことは、だれもマネジメントと部下育成の仕事を行っていなかったことである。マネジメントとは計画し、そして実績をチェックすることである。部下育成とは後任を育てることである。実務というか、目の前の仕事を一兵卒としてこなしているばかりである。そこで幹部としてのあるべき姿として、役割分担を明確にする。いわば組織図の作成である。そして評価制度を確立する。役割分担を遂行したかどうかは、評価基準に基づく。この評価をするということが、人材育成のポイントとなる。

              (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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