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ブログ・高橋 聡
第191回:令和時代の運送業経営 同一労働同一賃金・最高裁判決への対策編(3)
2021年2月21日
皆様の会社では、トラックの点検や整備、車検など、どのように行われてますでしょうか? 付き合いの長い地元の整備工場に委託をしている、車両を購入したディーラーにお願いしている、あるいは、自社で整備工場と整備士を抱え、車検まで含めて自社で行っておられる会社もあるかと思います。会社の規模やビジネスモデル、方針などにもよりますが、自社車両が50台を超えてくると、整備工場の内製化によって、充分なメリットを享受することができます。
さらに、車両が100台を超える会社であれば、すぐに自社工場を持つことを検討したほうが良いでしょう。
整備工場内製化のメリットは、大きく二つあります。①内製化による車両整備費・部品油脂費などのコストダウン(定量面)②運行管理者、配車担当者の負担軽減(定性面)。以上のうち、特に①は数字として跳ね返ってくるため、把握もしやすく、メリットの実感もしやすいはずです。特に「オイル代」は、整備工場を内製化し、自社で直接仕入れることで、ほぼ確実に、外注価格の半値以下で購入することができます。
定量的に分かる数字として表れないメリットですが、こちらも非常に重要です。整備士を自社で抱えていない場合、車両に異常が起こったときの報告・相談、そして対処は管理者、あるいは配車担当が行う場合がほとんどのはずです。整備工場を内製化すれば、車両の不調は整備士が対処できるようになるため、配車担当や管理者の負担は激減し、本来の業務に集中することが可能になります。
以上2つ以外にも、整備工場内製化のメリットは様々あり、台数が増えれば増えるほど、内製化による恩恵は拡大していくでしょう。ひとつ、懸念点を上げるとすれば、「整備士の採用」が年々困難になっているということです。整備業界の人材不足は深刻で、特に有資格者の採用難易度は、同じく人材不足であるトラックドライバーよりもはるかに高いと言われています。逆に言えば、今が整備士を採用できる「ラストチャンス」だということではないでしょうか。整備のノウハウを持つ人材を1人でも社内に確保できれば、未経験から整備士に育て上げる、という選択肢も生まれます。
ぜひ、整備工場の内製化について、一度真剣に検討してみられてはいかがでしょうか。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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