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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(330)小集団活動のすすめ方(1)A社の事例1
2021年4月12日
中小企業は存在そのものが小集団である。通常6人から10人ぐらいまでを1つの単位とする。
・何故小集団が経営活性化にとって有効か
経営コンサルタントとして様々の企業経営の現場を経験してつくづく悟らされる経営の原則がある。
それは、社長をはじめとして、1人ひとりの社員が経営目標を共有して、心を通い合わせるコミュニケーションの大切さである。
そのコミュニケーションを豊かにするものとして、小集団活動がある。6人から10人のグループを一単位として、リーダーを選出する。そして各グループは経営改善の為のテーマを持つ。このテーマの解決へ向けて、目標を設定して、自発性、創造力を発揮して活動をすすめていく。
そば、うどん店やお好み焼き店のチェーン展開をしているA社についてみてみよう。
A社は赤字続きであった。創立以来10年になるが、調子の良かったのははじめの1〜2年で、不振がつづいている。
社長は「いつやめようか」と内心悩みとあきらめの日々である。その頃経営改善のお手伝いをすることとなった。
不振の原因を分析してみると、立地環境の変化、メニューのマンネリ化、マーケティング活動の不活発と様々な問題点がある。
なかでも大きな問題は社長をはじめとする従業員1人ひとりの自信のなさ、マンネリという意識にある。この意識に目覚めをよびさまし、改革していくことが、経営改善の決め手である。
A社の従業員は女性が主力である。女性ばかりで小集団グループを編成して活動をスタートさせた。
意識改革にねらいを置いているので、自分達の力が役に立つのだという自信を獲得しなければならない。その為にわかりやすく、話しやすいテーマを設定した。
「接客マニュアルを自分たちでつくってみよう」とか、「材料のロス率を出してみよう」「きれいなお店の基準をつくろう」とかである。
平均年令は45歳である。ミーティングの行い方から勉強していった。うわさ話や不平不満、グチなら、あきることなくワイワイガヤガヤ、あるいはヒソヒソといくらでも口は回る人達ばかりである。
しかし、接客マニュアルとか、ロス率、清潔とかになると、とたんに口が重くなる。
「あーあ、うちのお店はいいとこやけど、小集団のミーティングだけはいややなあ。それに発表会もするらしいで。うちは人前で話したこともないし、クチべたやし、悩むなあ」
教育は、はじめは強制を伴う。発表会の日程を決定し、その日までに活動の成果をまとめていく。発表会へ向けて、模造紙に内容を書いたり、発表手順のリハーサルを各グループは行い、当日を迎えた。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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