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ブログ・小山 雅敬
第206回:運送業の労働時間管理に最適なシステムとは
2021年4月27日
【質問】ドライバーの労働時間管理に悩んでいます。現在は運転日報から手作業で集計していますが、不正確な記載が多く、また事務員の負担が大きいため、システム化を検討しています。導入時の留意点等があれば教えてください。
デジタコから自動集計する勤怠管理システムを導入する運送会社が増えてきましたが、未だに手作業で集計している運送会社のほうが圧倒的に多く見られます。近時は労働時間管理について労基署や運輸支局の監査でも相当厳しい見方をされるため、不正確な管理を行うことが許されなくなりました。勤怠管理をシステム化せざるを得ない状況になっています。
しかし、折角導入したシステムが運送会社の実態に合わず、使えないというケースも見られます。ドライバーの労働時間管理が他の職種と大きく異なるためです。一般に市販されている汎用型の勤怠管理ソフトは使えず、運送業に特化した勤怠管理システムを導入する必要があります。システム化を検討する際には、以下の点をよく確認することをお勧めします。
①労働時間の捉え方が運送業に合致しているか。特に作業開始から24時間を1日として管理しているか(深夜0時で日にちが更新されていないか)。休息期間の捉え方が現実の運行実態とあっているか(1日の区切りが適正にできるか)。休憩時間の管理がしやすいか。
②勤怠データが給与計算に連動しているか。賃金体系に歩合給が含まれるなど複雑な体系の場合でも、対応できる管理ソフトになっているか。残業時間や深夜時間が自動計算されて、社員個々の賃金決定に連動できるかどうかが事務合理化に結び付くか否かの最重要ポイントになります。
③改善基準告示に照らして現状の遵守状況が確認できるシステムになっているか。拘束時間や休息期間のほか、運転時間など全項目チェックが可能なシステムが望ましい。
④デジタコ、アルコールチェックいずれでも時間管理が可能か。点呼・点検・洗車等の時間を適宜追加修正できるシステムになっているか。
⑤特定メーカーのデジタコしか使えないシステムか。他でも使える汎用性のあるシステムか。デジタコの買い替えが必要か、既存のデジタコを使えるのか。
⑥導入コストは予算の範囲内か。
⑦入力作業の支援やアフターフォロー体制は納得できるものか。
⑧委託する会社の経営基盤は問題がないか。導入後に倒産しアフターフォローが消滅するリスクはないか。
以上が労働時間管理を含む勤怠管理のシステム化を検討する際の留意点になります。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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