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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(347)小集団活動のすすめ方(6)―3
2021年9月6日
二代目社長は、決算書という数字に示される資産を引き継いだだけではない。もちろん、土地の含み資産も相続した。これを元に現在の経営拡大策が展開されている。しかし、本当の資産とは、社員をはじめとして取引先に至るまで、心に残した先代の徳の威力とでもいうべきものである。
小集団活動の展開にあたって、トップとの心のつながりを強調するのは、A社のケースが大なり小なりの家業から中堅企業へと発展する共通部分を表現していると思うからだ。
小集団活動を表面的な、上滑りから救うのは、トップとメンバーとの心のつながり、信頼関係である。したがって、小集団活動の活性化のバックボーンとして、これがなくてはならないのだ。A社の二代目社長もこれからが正念場である。
すでに狂乱土地ブームは終わり、マネーゲームによって生じたバブルは弾けていく運命にある。金一封に代表される物を与えるだけではいけない。二代目社長は、新しく社員との間に熱を連帯の心の結びつきを強化していかねばなるまい。
そのためには、心を大きく開いて、本業に立ち戻って社員一人ひとりとのコミュニケーションを深めていくことだ。これに成功すれば、一段と大きくA社は経営体質をきたえていくだろう。
「人生の並木道」という歌の好きな社長を知っている。酔ってくると涙をうかべて歌う。〝日暮の路で泣いて叱った兄さんの涙の声を忘れたか〟…この社長の心情を一度のぞいてみたい。
思うに経営活動のひとコマのなかに、社員のことを思って叱ったこともあるのであろう。〝心のつながり〟の大切さを実感する。財産とは何だろうか。少なくとも、財産の一つに人間の徳というか、人間性の深さがあることは確かである。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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