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    「最低賃金引き上げ」に苦悩 給与体系を模索する経営者

    2010年9月28日

     
     
     

     政府が新成長戦略として「最低時給1000円」を掲げるなかで、労働集約のトラック運送事業者らが苦悩する姿が見られる。
     ある経営者は「分業で雇用拡大につなげるというが、ただでさえ生産性が低いうえ、運賃自体が極端に落ち込んでいる。走ってナンボの給料体系でやってきたトラックドライバーにとっては、一段と賃金が下がることになる」と、従来の賃金体系に手を付けられない実情を口にする。同社も業界で大勢を占める「固定給プラス歩合」の仕組みを敷いてきた。


     オール歩合制をはじめとして、トラックドライバーの賃金には出来高払いの要素が少なからず採り入れられている。出張・旅費や福利厚生費で経費処理されてきた「運行費」も、ある意味では歩合的かもしれない。
     現状の給料計算法を各社に聞くと、大半は「固定給プラス歩合」。固定部分は5000円から8000円程度が主流で、これに「売り上げから燃料代や高速料金などの経費を引き、残った部分の10%前後を加算する」(兵庫県の運送会社)という。歩合を7%ほどに抑えるケースも数社あったが、こうした事業者の場合は「固定プラス歩合のほかに、キロメートル当たり5円の運行費を支給する」(岡山県の事業者)と話す。
     同じ歩合制とはいっても、広島県の運送会社では「モデル運行別賃金」を採用してきた。経営者によれば「事務所に賃金規定表を置き、ドライバー自身も簡単に『今月の給料』が計算できる」という。名古屋なら○万円、東京都内で△万円というモデル賃金を組む事業者は少なくないが、同社の場合は「金額は往復で設定し、帰りがカラのときは『積み込み作業代』の部分となる1500円ほどをカットするだけ」。この運行別賃金に、各種手当てをまとめた月間10万円程度の固定部分が加わる。
     一方、かねてオール歩合でやってきた兵庫県の運送会社が現在、頭を痛めているのが最適なパーセントへの移行。社長は「近場と長距離、それに大型と4t車でも数字は変わるが、いずれも従来は単純に『水揚げ総額の何パーセント』でやってきた」と話すが、「車両ごとの売り上げから高速代や燃料費を引き、それを基本に計算する同業者も多い。パーセントが同じならドライバーも大変だが、コスト意識を持たせるという面から魅力はある」と話し、どの線で双方の取り分を収めるかに頭をひねっている。
     現在も「仕事の有無に関係しない月給」を継続している事業者も見られるが、その一方では個人償却制や、ドライバーを委託業者(下請け)に変化させる例など、トラック事業の賃金体系は一言では語れない。ただ、いずれのケースも現行体系の進化型を模索している点では共通しているようだ。

     
     
     
     

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