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運送会社
荷崩れ防ぐ「耐震マット」 ビーベストワークが開発
2011年6月27日
物流現場から生まれた荷崩れを防ぐ転倒防止マットが注目を集めている。ノンアセット型3PLを展開するビーベストワーク(東京都中央区)が開発した「耐震マット」だ。開発を手掛けた同社の剱持正和社長は、「荷物と作業者を守るため、業界標準を目指す」と語る。
東日本大震災で多くの物流現場が混乱に陥ったが、同社が請け負っている物流センターも同様に被害を被った。同社長は、「施設そのものにダメージはなかったが、パレット積みの荷物は横揺れで崩れ、大変な状況になった」と振り返る。
復旧の指揮を執るうちに、気になったことは施設を建てた建設会社やマテハンメーカーの対応。「一様に自社が関わった物流施設の耐震構造には自信を持っているが、保管している荷物がどうなるかまでの関心は薄い」と感じた同社長は、「物流事業者として自己防衛が必要」との思いに駆られ、パレットの横滑りを防止する耐震マットの開発を決意する。「もちろん、粘着マットなどの家具の転倒防止グッズも調べてみたが、数百kgもある荷積みパレットの重さに耐えられるようなものは存在しなかった」。
同社長は、旧知のメーカーと共同で、建設現場などで用いられているマットを参考に開発を推進。「素材にはゴムを用いる予定だった」が、高額・劣化が早い・燃えやすいというデメリットが多く断念。一時は暗礁に乗り上げたが、「ニーズに合致したプラスチックの一種で国内再生樹脂100%の『PVC(ポリ塩化ビニル)』という環境にも優しい最適な素材に巡り会えた」。
結果、出来上がったのは厚さ13mmの「PVC」の板に丸い突起物が敷き詰められたもの。「グリップ力に優れたこの突起物が衝撃を吸収するとともに、パレットを包み込むように振動も抑える」。
同社では振動実験も実施。「震度6弱からマットの有無の差が出てきた」という。「高く積んだ荷物が余計に崩れやすくなるという指摘もあるが、一般的な物流現場では1.6m以上の高さまで荷物を積むことは少ないため、そのリスクは低いと考えている」。
また、同素材は経年変化が少なく、高い性能を長期間持続するのも特徴。摂氏マイナス10度から摂氏60度まで幅広い温度帯で活用できるだけでなく、「自己消火性を持つ難燃素材のため、安心して利用頂ける」。
マットの基本サイズは、T11型パレットがそのまま置ける1150mmX1150mm。これに400個もの突起物が並ぶ。「800tのプレスをかけて成型するため耐荷重にも優れている」。
既に同製品は口コミで認知度が上がってきており、問い合わせも増えているという。「いずれ大きな地震が来ると言われているが、対策を講じるなら早いほうが良い」とし、「物流現場を支援するこのマットで業界に貢献していきたい」と語る。
同社では今後、全国の倉庫や物流センターに提案していく予定で、販売代理店も募集していくという。
詳細は同社HP、http://www.beebestwork.co.jp/ -
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