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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(385)リーダーシップについて(11)―2
2022年7月18日
現在の姿ではあまりに刹那的な企業運営ではないか。まして親会社の通告という黒船が来ている。ここで目を覚まして、利益を生き残りのために投資すること、技術開発や新規分野に振り向けていくことだ。
私が不思議に感じたのは、現場で使う軍手一つの節約を呼び掛けながら、夜は湯水の如く交際費を使う姿勢である。「わしの会社じゃ、煮て食おうと焼いて食おうとわしの勝手」ということであろう。
さらに不思議さを覚えたのは、従業員の態度である。社長に不満を言ったり、諫めることはタブーで顔色を伺ってばかりである。
「社長は社長、私は私」ということで我関せずで、しかし内心は社長から節約を呼び掛けられ、発破をかけられても馬耳東風である。
愛社心や仕事へのプライドといった社風は存在していない。このことは長年の親会社べったりで主体的に考え行動するとか、創造性の発揮のチャンスがなく、〝長いものには巻かれろ〟との体質に起因していると思われる。しかし、その親会社が生産の半減を通告してきた。
このケースでの改善ポイントは、社長の姿勢の変革である。企業の目的を確認し、目標を設定し、中期の経営ビジョンをはっきりさせる。交際費の湯水の如き出費はピタリとやめる。朝礼にも出席して生まれ変わったつもりで、従業員の先頭でやる気を示し続けることである。今までは、夜が遅いので、朝礼には出席できず、午前10時ごろの出社が通常パターンであった。
社訓を決定し、中期経営計画を作成した。そして会議のシステムを整備した。そのうえでパート人員の削減目標50%の方針を出して、実行していった。
トップ自ら襟を正さずして、人員整理はできない。人心を失ってしまうからだ。このケースでのトップは、ギリギリのところで目を覚まし、自己変革にチャレンジした。
経営に対する考え方は人生観の反映でもある。トップの生き様や人生に対する考え方は、企業体質を形成する。
従ってこのケースで私はトップの考え方、人生に対する姿勢が持っている経営に対する影響力を痛感した。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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