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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(386)リーダーシップについて(11)―3
2022年7月25日
トップの姿勢で大切なことは、夢を持ち、それを語るというスタンスである。志を持つと言い換えてもいい。その日その日に追われて生きていくのに精一杯で、先行きの展望はないというトップを置いている企業の未来は暗い。
成長するためには夢を持ち、夢に向かってチャレンジしていく。志を大きくして、一歩一歩現実化していく。
本稿でのケースのトップは企業の継続性を自覚して、姿勢を正して、新規分野への進出を決意し、成長への志をはっきりさせていった。企業目標を持つということは、経営活性化の第一歩である。
トップの役割は、人を育てることと、その環境づくりである。人材不足を嘆くトップは多い。しかしトップの役割の中心は、いかにして人づくりをするかである。
人をやる気にさせ、持っている能力を引き出し、生き生きと活動させるための環境づくりこそポイントである。
本稿でのケースのトップは、人材不足を嘆いていたが、人を育てていくという発想よりも自分の言うことを文句を言わず実行する人を求めていた。
会社の現実は、愛社心も薄く、プライドもなく、もっといい会社があればいつでも変わりたいが、自己の能力を考えれば、こんなもんかと諦めて働くといった状態で、活性化には程遠いものであった。
不良率の低減といってもかけ声だけであって、そのための提案や前向きな発言があるわけでもなかった。
ところが親会社の方針変更という黒船で危機感を持ったトップの自己変革への取り組みが会社の空気を変えていったのである。その際、企業目標を共有する手段として、中期経営計画の全体発表会というイベントを実施して、全員の協力を呼びかけ、働きかけていった。
繰り返し繰り返し様々な会議を通してビジョンを語りかけ、あるいは一人ひとりとの対話の時間をじっくり持っていったのである。
従業員が伸び伸びと働ける環境づくりは、こうしたトップのアクションによって大きく前進する。
一人ひとりが成長するようにとの願いをかける。このトップの心、姿勢を具体的に表現するプロセスで、活性化は進んでいくのである。念ずれば花開く、トップの企業発展への思い、執念こそ活性化の決め手である。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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