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    危機回避の知恵 現場の声から学ぶ安全対策

    2013年7月12日

     
     
     

     交通安全関係のセミナーでは、まず耳にする機会はないが、日々の経験で得た危険回避の知恵。プロのトラックドライバーにとっては当たり前のことで、聞けば「ナルホド」と理解できるものの、そうしたリスクの存在を実感しながらハンドルを握っている一般ドライバーは多くないだろう。トラック運転者を集めた教育の場は安全再確認の意味で重要だが、現場に身を置くドライバーだからこそ知り得る安全対策というのもある。高速道路のSAなどで休憩していた〝講師〟らに、そんな話を聞いてみた。
     山陽自動車道・下り線の吉備SA(岡山市)で食事中だった久留米ナンバーの大型ドライバー。「いつも高速道路を使えるわけではないし、食事の時間も決まっていない。どうしてもコンビニ弁当が多くなってしまう」という。この日の昼食は午後4時だったが、「『ここで寝る』と決めた場所でしかメシは食わない」のが日常。「食べてハンドルを握れば運転中に眠くなる。先を急ぐときは、メシなんて後回しというのが当たり前」と話す。


     「夜間はもちろんだが、昼間でもできるだけ奥のほうに駐車するようにしている」と説明するのは、中国自動車道・下り線の七塚原SAで休憩していた長崎ナンバーの大型ドライバー。「中国道は駐車スペースに余裕はあるが、山陽道や東名高速などのSAだと夜間にトラックを止める場所がなくなる。やむを得ずSAへの合流路や、本線への流出レーンに駐停車するドライバーも多い。どちらも交通違反だが、SAへの合流路には絶対に止めてはいけない」と強調する。
     SA内に設けられた正規の駐車ゾーンでさえ、少しでも奥のほうの空きスペースを探すという同ドライバーによれば「突っ込まれるリスクを避けるため」という。「満車のために休憩できず、いくつかのSAやPAを通過してきたドライバーはフラフラで、居眠り状態のケースも少なくない。そんなトラックが近付いてくる合流部分に駐車するのは自殺行為だ」と指摘する。
     割引拡充で利用者層が広がったこともあり、一般国道と同じ感覚で高速道路の路肩や待避スペースに停車するドライバーの増加が懸念されているが、山陽道・上り線の三木SA(兵庫県三木市)で話を聞いた尾張小牧ナンバーのトレーラ運転者は「特に怖いのは夜間」という。かつて同ドライバー自身が経験したというヒヤリの瞬間からは、一般的に理解されている緊急措置が場合によっては通用しないことを思い知らされる。
     「居眠り状態で深夜・早朝に走っているトラックが少なくないことは、業界関係者なら知っていること。眠くて我慢できないトラックが広めの路肩に停車したり、路肩に寄せて携帯電話を使っている乗用車ドライバーの姿もあるが、居眠りのクルマは停車している車両に向かって走ってくる」という。しかも、スモールやハザードランプを点灯させるという危険回避のサインが、「居眠り状態のドライバーに『前方を走る車両の後部ランプ』と勘違いさせてしまい、それを追いかけるように突っ込んでしまう」と同ドライバー。
     多発する「停車中の車両に後続車が追突」という事故の背景に、こうした現場状況が存在するとすれば認識を改める必要もあるだろう。

     
     
     
     

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