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    電気トラック普及の可能性

    2013年7月11日

     
     
     

     多くの運送事業者が燃料高騰に悩む中、あらためて化石燃料以外の車社会の可能性に目を転じると「電気トラック」など新たな車両の登場に気がつく。「電気トラック」は今後、実用化に近づいていくだろうか。最近の事例を探した。
     エンジン音のない、モーター音とタイヤの走行音だけで静かに走る電気自動車は、環境を重んじる会社や団体などで導入されている。そうした中、トラックの電気自動車も様々な企業で導入実験が始まっている。
     5月9日には、横浜市で生活協同組合ユーコープが宅配事業「おうちCO―OP」で電気トラックの配送実験を開始。日産自動車が進める電気自動車実用化に向けた実証実験に協力する取り組みで、モニター車として「eーNT400テストトラック(1.5トン車)」を借り受けて、実際の配送に使用している。7月12日までの3か月間で、組合員宅への商品配達を行う。稼働は月曜から金曜までの週5日で、横浜市中区・保土ヶ谷区・西区・神奈川区を回る5つのコースを受け持つ。毎日の平均配達件数は38件で、積載量は1トン、平均走行距離は約20~30キロになる。運んでいるのは食料品が主だが、生協の配達では保冷品は蓄冷剤で温度管理して届けるので荷室内は常温だという。


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     ユーコープ広報によると、充電は「営業用乗用車を電気自動車にしており、そのために使っていた新山下センターの充電設備を使って実験を行っている」。さらに、テストトラックの走行可能距離は30キロ以上あり、現在まで特に支障もなく使用できているという。この配送実験の結果は、電気トラックの将来的な実用化のための基礎資料として使われる。
     西濃運輸でも、5月下旬から日野自動車との協力で小型の電気トラックを集配業務に使用する実証運行を開始している。こちらは日野が開発した1トン積み超低床EVトラックにドライバンを架装したもの。同社深川支店(東京都江東区)で1台を、今後1年間で実証運行していく。拠点には急速充電器を設置し、高い頻度で急速充電をしながら運用方法について検証する。
     こうした電気自動車や電気トラックの場合は、充電設備などインフラが十分ではないのが実情だ。固定されたルートで事前に走行距離がわかり、充電設備のある場所まで戻ってこられないと事業用では使えない。CNG車の場合は、インフラ整備について、もう少し活発な議論があったようだが、電気トラックは一部の事業者だけでまだ本格的議論には至っていないように感じる。
     以前、神ト協が「10年後の物流業界」をテーマにした研究を冊子にまとめたことがある。そこで重要視したのは、10年後を見通した経営を運送事業者がしているかという点だ。環境問題が盛んに報道されはじめて10年後には、トラックの排ガス規制と言う課題に直面したことを、その研究では振り返っていた。乗用車では電気自動車が少しずつ現実的なものになってきているが、10年後、運送業界で活躍する車両は電気トラックになっているだろうか。運送業の未来を考えた取り組みが期待される。

     
     
     
     

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