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物流ニュース
事故の未然防止に向けて ICTで安全確保と効率化
2014年1月17日
11月20日、「自動車運転死傷行為処罰法」が成立した。てんかんや統合失調症など「特定の病気」の影響で「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」で事故を起こした場合、死亡事故は懲役15年以下、負傷事故は懲役12年以下に処される。
国交省では、健康や過労運転に起因する事故を未然に防止するため、ICT(情報通信技術)と連携し、運転記録簿や健康診断書などドライバー個々のデータを一元化し、運行管理や健康管理に役立てる動きが強まっている。
事業用自動車の運転者の健康状態に起因する事故は右肩上がりで推移しており、運輸交通業(鉄道を除く)では、定期健康診断の有所見率が、全産業の平均に比べ10%高い傾向にある。そのため、ドライバーの過労防止と健康管理の徹底が求められている。
同省ではこれまで、運行管理の高度化を促すため、営業所を離れたリアルタイムの運転者の体調・疲労の把握などに効果が高い機器を活用した先進的な取り組みを行っている事業者に対し、必要な機器の導入について支援してきた。
自動車局安全政策課の笠嶋七生課長補佐によれば、「配車にかかわる動態管理、経営体質の改善、安全の確保など課題として残っていた。ドライバー1人ひとりのデータを総合して判断する必要があるが、現状はバラバラで、うまく分析できていない」という。
その問題を解決する手段として浮上したのがICTである。ネットワーク化でデータを集積し蓄積することなどを得意とし、共用することで安価に提供できる。既存のハードウェアを利用することで迅速に対応、サービスの平準化も見込まれる。
例えば、運転業務開始前の日常データや運転中の行動、周辺の状況なども分析し、リスクを事前予測することが可能で、危険運転監視による事故削減、運転モデルによる燃費向上などの新たな価値の創造が期待されている。
「安全運転支援システム」「自動走行システム」「生体データ」を利用したドライバーの体調変化を捉える車両開発のほか、デジタコの高度化も注目される。クラウド管理を行えば、リアルタイムでの運行管理や、データを活用した運転指導、日報作成などの業務負担の軽減が可能。また、運転者の心拍数など生体信号から、疲労や眠気などの状態を捉え、支障がある場合には警告する機器も開発が進められている。
「スマートフォンのアプリのように、ハードを変えなくてもそれぞれの事業者に合ったソフトを導入してカスタマイズできる。共通のデバイスの中でさまざまなソフトを組み合わせることで、コストを削減し、将来的なビジョンを共有していく手法が現実的」(同)という。その上で、「次世代の経営者を対象に制度設計していく方針」という。
コスト面では、「必要最低限のラインを国交省が示し、それ以外の部分はカスタマイズできるようにすればコスト増にはならない」としている。
次のステップは、どのような機能が必要か、物流業界としてICT業界に投げかけること。現時点でICTのデザインはすぐにでも可能だという。この記事へのコメント
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