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物流ニュース
プラスロジスティクス 「営業部門と考えを共に」
2014年10月27日
文具・オフィス家具メーカーのプラスなど、プラスグループの物流部門を担うプラスロジスティクス(今泉三千夫社長、東京都豊島区)。物流業界には、「運賃の適正収受」「燃料高騰」「人材不足」などの問題が山積しているが、同社はグループ子会社の強みを生かし、荷主の営業部隊と連携しながらこの荒波を乗り越えようとしている。同社が目指すのは、荷主・配送先・物流事業者がwin─win─winの関係となることだ。
同社経営企画室の鈴木俊一室長は、このほど荷主であるプラスの営業300人が集まる中で、意識改革を訴えたという。営業部門が、物流は「単に運ぶだけ」「コスト部門」という認識を持っている以上、利益は上がらない――荷主社長の意向で実現した。「人材不足の原因、人材がどこに流出しているのかを説明した。ドライバーの高齢化やトラックの参入規制など考えると、人材不足は2020年までは続くだろう。今まではスケールメリットを生かして、個数が多く出れば割引をしてきたが、そうも言っていられない」と危機感をにじませる。
物流費はこの先も上がっていくと読む。「プラスの営業は、通販のようにフロントで注文を取って宅配便で届けるシステム。だから1段ボールあたりの売り上げを上げなければならない。少量の商品を毎日納品するより、まとめて3、4日に1回届けるという『おまとめサービス割引』などを展開して、運ぶ絶対量・回数を少なくしないといけない。しかし、物流部門がいくらコスト削減の方法を考えても、営業と考えを共にできなければ、企業全体として物流費を抑えるのは難しい」。
「おまとめ割引」分の損失が多少あっても、グループ全体の売り上げが伸びているので、大きな影響はないという。むしろ全体の利益体質が上がれば、商品価格を下げることもできる。「余計な経費を抑えて利益を生んだ分を、販売量の増加につなげていけばいい」。だからこそ営業と物流部門がコミュニケーションをとり、一緒に戦略を考えていくことが重要だという。
今は両者は協力体制にあるが、これまで営業にとって〝物流〟は「運んで当たり前」「毎年のコストダウンも当たり前」だった。その意識が変わるきっかけとして、東日本大震災と今年2月の豪雪を挙げた。「震災の時は、誰もが被害の大きさを知っていたから、荷物が届かなくても当たり前という認識があった。しかし豪雪のときは、被害のないエリアの営業は状況を知らないので『なぜ届かない』となってしまったが、事実をきちんと説明すれば納得した。要するに説明不足。だから情報は常に発信するように心がけている」。
その教訓を踏まえ、今年3月末の繁忙期を見込んで、特に家具はあらかじめキャパを設定した。「これだけは確実に運ぶが、それ以上は運べない」ということを営業に開示しておけば、営業が顧客と納期調整をする際に役立てられる。「お客様から注文があり、指定した日に運べないとクレームになる。それならこちらから配達日時を提案する。営業は動きやすくなり、物量も平準化。うまくコントロールできたと思う」。
成功の裏にあった過去の失敗。逆にそれが「納期を遅らせるようなことはあってはならない」という共通認識となり、良い方向へと導いた。「来年3月に事務用品、9月末には消費増税と、2回のヤマがくると考えている。今年と同じようにキャパ設定をしていく」と話す鈴木室長。
年に2回行われるプラスの全体会議には、家具や文具・日用雑貨をはじめ、学校向け教材や介護用品などさまざまな営業が参加。プラスグループのステーショナリーカンパニーとファニチャーカンパニーは、メーカーとしてこれからどんな製品を開発していけばいいか、エンドユーザーに近い営業マンと連携を取るため参加する。それ以外にも2週間から月1回ペースで定例会を行っている。 「売れないものを作ってもしょうがないので、売れるものを営業に聞く。売りたいものと売れるものが必ずしも同じではないので、情報共有が大事」と話す。
協力会社は、「企業向け」「消費者向け」を合わせると全国に200社あるという。協力会社には、製品の説明や家具の組み立て指導を、5月から11月にかけて年80回行っている。その間に「パートナー表彰」などでドライバーのモチベーションアップにつなげたり、「品質技能大会」を開催して品質の維持を図っている。
「協力会社の方も、安定的にモノを供給でき、なおかつ増えていく荷主と付き合った方が面白いはず。『彼らのために』ということも含め、我々はモノを増やすことを考えている」。だからこそ、なるべく物量を減らさないよう、プラスの荷物だけでなく、新しい荷物も組み合わせて全体を底上げするという。
「私たちは中小物流事業者にとっての営業代行だと思っている」。鈴木室長はさらに続ける。「〝顧客満足をサプライヤー満足につなげる〟という企業理念がある。我々にとっての顧客は二つあって、エンドユーザーである納品先、そして荷主。サプライヤーというのは配送会社、運送会社。荷主・配送先・物流事業者の3者にとってwin─win─winの関係でありたいというのがグループの想いで、当社としてもそうありたい」。
◎関連リンク→ プラスロジスティクス株式会社この記事へのコメント
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