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ブログ・高橋 聡
第292回:令和時代の運送業経営 残業時間削減編(89)
2025年7月2日
【残業時間対策編】89
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「残業時間対策編」として時間外上限規制(2024年問題)への対応について解説してまいります。(その6)
1.給与変更による労働時間削減
24年問題への対策として「労働時間・残業時間数」を削減するために「社員アンケート実施による給与変更」を行った会社があります。同社の運行は固定的運行(決まった荷主の運行中心)を行う車両が20台、変動的運行(中・長距離、フリー運行中心)を行う車両が10台あり、同じ給与制度で処遇していました。
同社の旧給与制度は基本給、手当、定額残業(超過残業)、担当コースごとに単価設定されるコース手当で構成されていました。24年問題に対応するためにコース手当を再設計し「標準運賃(距離基準運賃)×調整率×歩率」という方式に改めることと併行し、給与を固定化したいというドライバーの要望に対応するためコース手当・出来高を使用しない固定給+定額残業という制度を新設。ドライバーにアンケートを取り、どちらの給与制度を選ぶか決めてもらう仕組みとしました。
アンケート結果はほぼ想定通り若手のルート配送組は固定給型、ベテラン組は固定給+出来高型を希望したため混乱なく新給与に移行することが出来ました。変更の目的である残業時間削減も徐々に進んでいる状況です。
2.事例のポイント
運行内容が地場と中・長距離、固定荷主と変動荷主と数パターンある場合、給与制度も数パターン有る方がうまくいくケースがあります。また、ドライバーの要望に応じた形式をとる事で特に出来高に関しての納得感を高める効果があります。意欲に報いる出来高の設定が求められます。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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