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物流ニュース
大知工業 手作業で品質管理を徹底
2016年2月26日
ぞうりなどの材料になる革や布にエナメル塗装を手がける素材メーカーの大知工業(大阪市平野区)。作業のほとんどが手作業で行われており、和装小物の材料の製造やウレタン塗装のメーカーとして、現在では日本に数社しかない特殊な仕事を行っている。
同社で製造されている材料は、製品になり販売されるときには高価な商品として販売されるため、きめ細かな作業が重要になってくる。その中で一番重要なのは品質管理。紫外線などで生地自体が変色する問題や、塗料を塗る段階でのゴミの付着が材料を駄目にしてしまうため、慎重に一つひとつの工程を手際よく丁寧にしていかなくてはいけない。
また、塗料を塗る作業工程では、皮革・帆布などは生地のまま塗ると塗料が吸い込んでしまうため、目止め処理という作業を行い、下地を作る。水性塗料を生地一面に塗り込み、油性塗料が塗れる状態まで何回も重ね塗りを行い、水性の下地を完成させる。
さらに製造過程では、1枚ずつゴミの付着などがないかをチェックする専用の部屋で職人がライトを使用して検査し、ゴミの付着などはペーパーヤスリなどで取り除いていく。
プラスチックや鉄と違い、塗料を塗る面が平らではないことや材料の繊維が一つずつ異なるため質のため塗料の吹き付けなどを変えていかないといけない。齋藤知義専務は「革素材の質感を残したまま塗料を吹き付けなければいけないため、塗装するバランスなどが非常に難しい。シーズンごとに材料の質感も変わる。その都度、注意して作業をしないといけない」と話す。
また、製品によって塗料を塗る順序が違い、間違えると塗り直しができない。作業工程の順序や職人としての技術が必要で、異なる材料を同じものに仕上げていくために機械ではなく手作りで行っている。さらに、素材を乾燥させて作業するため、同社は年中、高温の室内で作業を行う過酷な職場環境と言える。齋藤専務は「品質を維持するため夏場でもクーラーなどが使用できない」と品質へのこだわりを語り、「完成した素材は高価なもののため、品質重視で勝負をしている。梱包作業にも細心の注意をしながらしている」とも話す。
同社は、少量で多品種、高品質の生産を強みとして45期を迎える。これからも伝統工芸を守りながら、時代のニーズに合わせたものを作り出していく。
◎関連リンク→ 大知工業株式会社この記事へのコメント
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