-
物流ニュース
運行記録計の装着義務拡大 使用経年車の適用、要対応
2015年12月16日
運行記録計の装着義務対象が拡大され、車両総重量7トン以上8トン未満(最大積載量4トン以上5トン未満)の新車についてはすでに今年4月から適用されている。使用経年車への適用は平成29年4月からとなるが、その対象でありながら、長距離を走らない事業者には意外と知られていないようだ。このまま乗り続けても車検は通るため、監査や適正化の指導で初めて気付くという最悪の事態も起こりかねない。
平成26年12月の「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(以下「安全規則」)の改正で、運行記録計による記録とその保存を行う義務付けの対象が「車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上」から「車両総重量が7トン以上または最大積載量が4トン以上」の事業用自動車に拡大された。ところが、「道路運送車両の保安基準」(以下「保安基準」)をみると、「貨物の運送の用に供する普通自動車であって、車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上のもの(第48条の2)」とされており、こちらは従来のまま存在している。つまり、仮に安全規則の改正を知らずにいたとしても、車検には通ってしまうというわけだ。そのまま営業を続ければ当然、監査や適正化の指導の対象となる。
拡大対象のトラックを保有する事業者に話を聞くと、「ト協からの案内のほか、ディーラーとの付き合いの中で法改正の話を聞く機会が何度もあった」と答える一方、1日の走行距離が短いコンビニ配送や家電配送を行う事業者は「走行キロが少ないからと油断していた」と慌てた様子のところもあった。一部では「保安基準も統一すべき」との声があるが、安全規則は貨物自動車に対する法律であるのに対し、同法は普通乗用車も適用範囲に含まれることから、保安基準の改正は容易ではないようだ。
今回の法改正では、装着する運行記録計はデジタル式でもアナログ式でも良いこととされた。国交省の「トラックにおける運行記録計の装着義務付け対象拡大のための検討会」では、アナログ式運行記録計について「チャートを見るだけで大まかな運転時間を把握でき、パソコンなどに精通していない運行管理者でも活用が容易であるなど、優れた面もある」ため、「当面はその活用も認めるべきとの声も多い」と、平成26年3月に結論を出し、現行の措置に至った。ただ国交省は、正確な運転時間の把握、集計機能による日報作成の負担軽減、データ解析による効果的な運転指導が可能であるとして、デジタル式の運行記録計の導入を推進している。
そこで国は、先行して積極的に導入しようとする事業者へのインセンティブとして予算枠を設けている。今年度は、経産省資源エネルギー庁との連携事業として「平成27年度省エネルギー型陸上輸送実証事業 トラックドライバーのエコドライブ促進による省エネルギー化の実証事業」で20.7億円を計上。国交省では「平成27年度自動車事故対策費補助金 事故防止対策支援推進事業」の10億円の内数で、運行管理の高度化に対する支援が行われている。
前者は、車載器・事業所用機器の設備費やエコドライブ指導に関わるコンサルタント委託費の補助対象経費の2分の1を助成。6月9日に公表ののち、同19日から同30日(消印有効)の12日間で受け付け、同23日には予算額に達し、公募が締め切られている。後者は、車載器1台あたり3万円、事務所機器は10万円を上限に、取得に対する経費の3分の1を補助するもので、6月26日に公表、公募期間は7月1日から11月30日までの約4か月としていたが、11月2日に予算額に到達し、公募が締め切られている。
近年の募集傾向をみると、日程の前後はあるようだが、いずれにせよ公募期間が短いうえに応募多数で締め切りが繰り上げになっている。
平成28年度予算概算要求では、今年度並みの予算が計上されている。法律の施行日直前になって慌てることがないように備えることはもちろん、補助金を活用しての導入を考えている事業者は、今年の募集要項を参考にしながら次年度を見込んだ計画を立てておく必要があるだろう。
◎関連リンク→ 国土交通省この記事へのコメント
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ