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ブログ・高橋 聡
第302回:令和時代の運送業経営 歩合設計編(99)
2025年12月14日New!!
【歩合給設計編】99
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号は前回に続き「歩合給設計編」として時間外上限規制(2024年問題)への給与設計面での対応について解説してまいります(その9)。
1.歩合給の性質についての考察
大手引越会社の裁判では「歩合給」そのものが争点になっています。この性質については、さまざまな観点での考察をしてまいります。2.自主性・自助努力
大手引越会社の地裁判決では「自助努力」が歩合給の要件とされました(高裁判決では要件とされていません)。さて、「自助努力」は歩合給の性質上、要件になるのでしょうか。法的な観点では「自助努力」は歩合給の要件とはされていないと考えます。労働基準法で歩合給は「売上高、生産量など労働の成果に一定の割合を乗じて決定される制度」とされています。
実務上の観点では「稼ぎたい」と申し出るドライバーに、その意向を汲んだ配車が行われています。しかし、個人事業主であれば仕事を選ぶ権利を有しますが、緑ナンバーのドライバーに対しては指揮命令として配車する権限は会社が有しているので、その配車指示にドライバーは従う必要があります。
当社のお客さまで、配車マンとドライバーが対立することが起こっています。現状、多くの会社でドライバー不足の状況にあるため、辞められると困る会社に対してドライバーは強気に話すことが多く起こっています。しかし、改善基準告示では拘束時間、休憩・休息などのルールの下で運行させる必要があるため、ドライバーの要望を踏まえて配車はするものの、個人要望にすべて対応することは不可能と言えます。拘束時間や連続運転時間、平均運転時間そして時間外の上限規制の下で運行させる必要があるからです。
したがって「自助努力」を歩合給の必要条件とすることは難しいと考えます。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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