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物流ニュース
キリングループロジ 加藤元社長 「従業員と作った経営理念」(中)
2016年5月24日
加藤元社長が物流に携わったのは、今から3年前の平成25年。以前の上司から声がかかり、その上司が社長を務めるキリン物流の東日本支社長に就任する。「物流のイロハも知らない素人で、1年間は現場の話を聞く日々だった」と振り返る同社長だが、翌年には大転換点ともいえる改革に直面する。
当時、キリン物流はキリンビールの子会社という位置づけで、事業会社の指示に従って物流を担っていた。しかし、人手不足や車両不足などで届ける・運ぶが困難になった時代背景と、キリンビールやキリンビバレッジ、メルシャンなど各企業の指示下で業務を遂行していたことで、グループにおける統合効果が出ていなかったことから、全体最適を目指すべく、事業会社の物流企画機能をすべて切り離し、同社に移管するという必要性に迫られ、大改革が実施された。社名もキリングループロジスティクスに変更し、同社長が初代社長に就任した。これにより同社は、キリンビールの子会社からキリンの物流部門を担う機能分担会社として、各事業会社と同列となった。
社長に就任してまず着手したのが、経営理念の構築だ。「以前は、指示に従っていればよかったが、今度は自ら事業会社への提案も含め、アプローチしていかなければならなくなった。そのためには、会社の背骨を作らないといけないと感じた」。
経営理念を作る上で、「トップダウン」方式ではなく、みんなで作った、みんなの思いを、みんなで守り続ける「ボトムアップ」方式で新経営理念を考えるため、全国から選抜したメンバーでプロジェクトを発足させ、「わくステトレイン」と名付けた対話集会を開いた。同集会には、同社長自ら出席し、従業員の声に耳を傾けた。
同集会は1年2か月かけて都合99回開催し、同社長は延べ1110人の従業員と対話した。「時間を掛けてもいいから、理念をいかにみんなと作り上げるかが大事だった」と振り返る。
昨年7月、経営理念が完成した。ミッション=物流サービスを進化させ続けることによって、人々の生活を豊かにし、社会に貢献します。ビジョン=「キリン品質」の物流サービスが、日本で一番お客様に信頼されている。~小さな日本一を、パートナーと共に、たくさん創る~。価値観=心躍る挑戦、やりきる情熱、すべてに感謝。
理念を作り上げる過程で、最も印象に残った言葉があった。ある対話集会で社員が発言した「パートナーと共に」という言葉だった。すべての輸送・構内作業を完遂するには、パートナー会社の協力が必要不可欠だ。社員の言葉には、「パートナー会社なくして当社は成り立たない」という思いがあった。「まさに目から鱗だった」と、同社長はその場で、その言葉を経営理念に加えることを決めた。(つづく)
■加藤元社長=昭和35年3月26日生まれ。同57年4月・キリンビール入社、平成12年7月・営業本部営業部営業企画担当部長代理、同17年9月・近畿圏統括本部近畿圏営業推進部部長、同25年3月・キリン物流取締役東日本支社長、同26年4月・キリングループロジスティクス代表取締役社長
◎関連リンク→ キリングループロジスティクス株式会社この記事へのコメント
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