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運送会社
ステップワン 今関正己社長 「一生懸命な人を大事に」
2016年7月22日
ステップワン(東京都大田区)の今関正己社長は現在、66歳。31歳の時に軽1台で起業し、それから35年が経過した。
「いまは創業の頃とは環境が全く違う」と話す同社長。「車両は550ccで、クーラーも付いておらず、真夏は窓を全開にして走った。信号で止まると暑さでめまいがした。両サイドにダンプカーが止まった時は大変だった」と笑う。「もちろんカーナビもないので、地図1枚でどこへでも運んだ」。
創業時に力を入れたのが、当然のことながら荷主開拓だ。「ネットも何もない時代だから、やるのは飛び込み営業のみ」。月曜から土曜までは配送の仕事をこなし、日曜・祝日は営業にまわった。「休みの日に社員が出勤しているのは忙しい会社で、つまり伸びているということ。とにかくそういう会社に手当たり次第に名刺を配ってあいさつ回りを続けた。当時はバブルで社会全体が忙しく、急ぎの荷物がたくさんあった。夜中の1時くらいに『いまから届けてくれ』という電話が来ていた」と振り返る。そんな「休みなし」の生活は5年ほど続いたという。
長い年月の間には、さまざまな経験も。「メーンの荷主が夜逃げし、当時の売り上げの2か月分が入ってこなかったときが一番きつかった。どれだけ仕事をしても借金の返済ですぐに消えてしまう。返済日には4軒も5軒も銀行をまわった」。その辛い状況から「改めて1からのスタート」を切り、8年かけてようやく、「プラスマイナスゼロ」に。「そこから踏ん張ってここまでやってきた」。
もともとは「個人で、1台でやっていこうと思っていた」という同社長だが、就職氷河期で働き口がない若者が増えているという社会を目の当たりにし、「自分が1人でも雇うことで失業者対策の一助になれるのではないか」と考え、増車に踏み切ったという。
「いまいるドライバーはその当時に入った者も多く、長い人は35年。それ以外もみんな10年選手」。勤続年数からも分かる通り「一生懸命やってくれる人を大事にしたい」というのが信条だ。「従業員は本音を会社に言いたくてもなかなか言えない。ならば、経営者が自らその気持ちを察して、応えなければならない」と考える。
「売り上げが良ければ従業員に還元するべき。ドライバーを金儲けのコマみたいに考えてはいけない」とし、「生き物はすべて持ちつ持たれつ。大きい会社だからできる、小さいからできないではなく、気持ちをどうにかして形にすることが大切」と説く。関連記事
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