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ドライバーが未払い賃金8000万円を請求
2010年6月14日
運送事業は他の産業と比較して、どうしても労働時間が長くなりがちだ。長距離運行などを行えば、1か月で残業時間が100時間を超えることもある。また、近・中距離輸送でも交通渋滞や、荷主での待機時間などが発生することから、自然と長時間労働につながるようだ。こんななか、弁護士らによる新たな金脈として、運送事業者が未払い賃金訴訟などのターゲットになりかねない状況に陥っている。
大阪市に本社を構える食品輸送の運送事業者では、数人のドライバーが未払い賃金8000万円を求めた訴訟を大阪地裁に起こした。同社は冷凍食品などを冷凍倉庫やスーパーなどに配送しており、待機時間などは増加傾向にあるという。さらに、多くの運送事業者の賃金体系は、歩合イコール残業手当として含むケースが大半で、残業代が法律で定められた通りに支払われていないという事実も少なくない。結果、労働者が労働基準監督署や労働組合などに相談を持ち込み、ここから未払い賃金を求められることは、これまでも発生していた。
そんななか、弁護士が同問題に携わって運送事業者に対し、未払い賃金などを含んだ金額を求めてくるようで、この訴えを起こされた同社でも、従業員3人に対して約8000万円を求められているのだ。
現在、同社の社長も弁護士を立てて話し合っているが、専門家に8000万円の根拠を尋ねると、「法律に基づいた計算でも数百万円程度であるが、この中には慰謝料など様々なものが含まれている」ということを聞かされ、「この金額が認められれば、運送事業として今後成り立たなくなる」と話す。
さらに、同社はある雑誌で、「弁護士がこれまでサラ金などの過払い問題に取り組んでいたが、同問題が少しずつ落ち着いてきたことなどから、新しい『金脈』として未払い賃金問題に取り組むことが増えてくるのでは」と予想している記事を読み、同社では「今後、この問題が運送業界で広まれば、中小・零細事業者は経営が成り立たなくなる」と心配している。
同社は現在、裁判で未払い賃金について争っているが、「3年ほど裁判で争っていくことにも不安を覚えており、ますます大きな負担が強いられてくる」と嘆く。(佐藤弘行)
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