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    続く「高値安定」、石油の新価格決定方式が問題か

    2010年7月16日

     
     
     

     軽油価格がじわじわと上昇している。原油価格続落の影響などで7月に入って、ようやく多少の値下げが見られるものの、長期的には1年前に比べてスタンド、ローリーとも1?当たり10―20円値上がりして「高値安定」の状態。08年以降、元売り各社が相次いで導入したマーケット連動の卸価格決定方式は「不採算性が強い」と見直しを実施。現在は「新・新体系」と呼ばれる価格決定方式に切り替えている。今後、原油価格下落が進んでも市場価格に十分に反映されないことも予想される。「全ト協などは石油業界の動きをもっと監視すべき。必要な場合は公取委に相談するぐらいの姿勢で臨んでほしい」と、あるトラック事業者は話している。


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     軽油価格は09年4月以降、上がり続けている。1リットル当たりの軽油購入平均価格(東ト協調べ)は08年12月20日でスタンド101.0円、ローリー89.2円だったが、今年6月20日現在、同109.8円、同97.6円にまでハネ上がった。トラック業界には「再び燃料サーチャージを」との声も出始めている。

     マーケット連動方式は今年4月にコスモ石油が見直しを行い、6月には経営統合を控えた新日本石油とジャパンエナジー(現JX日鉱日石エネルギー)が仕切り体系の統合と同時に見直しを実施。昭和シェルも6月から見直しを始め、今月になって「当面、見直しは行わない」としていた出光興産も実施に踏み切った。各社とも従来の「コスト連動方式」を一部復活させる形になる。

     これまでの市場連動方式に比べ、見直しでは原油価格の変動に迅速に対応(タイムラグ短縮)する体制を整えた一方、「コスト連動」部分も重視。「適正な価格で安定供給を目指す」としているが、大口ユーザーは「高値安定を狙ったもの」と危惧する。販売コストなどの具体的な中身は公開されないため、「恣意的な要素も否定できない」との指摘もある。

     石油製品の価格は原油価格の変動だけでなく、TOCOM(東京工業品取引所)での先物取引価格や「海上スポット」と呼ばれる船積み価格、さらにローリーで引き取る際に油槽所までの転送運賃などを含む「陸上スポット」と呼ばれる価格に元売りが「ブランド料」や「販売コスト」を加えて最終的な卸価格となる。ブランド料も例えばJXは4円とうわさされるが「必要なのか」との批判もある。

     国内市況のバランスも価格決定に大きく影響するため、元売り各社は「市況が軟化」してくると製品の「減産」に一斉に走り、需給調整を行う。

     石油情報センターの担当者は「石油製品需要は縮小を続けると予測され、減産とともに施設廃棄など『精製能力』削減も国で認められている」と説明する。

     元売りが系列以外に流す「業転玉」と呼ばれる軽油もあり、系列向け以上の値引きが行われることもある。最近の例ではエクソンモービルが10日以降の産業向け軽油の外販価格を1リットル当たり2円引き下げた。仕入れ価格で数十銭の攻防をしているかと思えば、業転で2円下げなど分からないことの多い石油業界。市況が正しく反映されず原油や海上スポットとの連動性がさらに弱まり、軽油価格が高値安定を続けるならトラック業界の反発は必至だ。(土居忠幸)

     
     
     
     
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