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    ドライバーか下請企業か? 目先の利益に走る事業者

    2010年10月28日

     
     
     

     「ウチはドライバーと請負契約しているから、社会保険も何も入っていない」という運送会社の社長は少なくない。「ドライバーということではなく、下請け企業であれば、まったく問題はない」という意見もあれば、「実態が労働者である以上、偽装であって問題」という声もある。行政や労働組合に話を聞いた。


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     「そのドライバーがきちんと(運送業の)許可をとっているなら、問題はない」というのは、京都運輸支局輸送課の担当官。「軽なら1台、一般なら5台の車両を保有して、下請け契約を結んでいる分にはOK」という。しかし、「監査に入った場合、よく社長から『運転者と請負契約を結んでおり、社会保険に加入していない』という話を聞く。ドライバーとは請負契約は出来ないし、ドライバーが貨物運送事業の許可を得ているとは思えないのがほとんど」と指摘する。

     「ドライバーが許可を得ているかどうかの確認まで至ったケースは知らないが、そういった場合、当然、注意や何らかのアクションを起こすことになる。度重なれば処分の対象にもなりえる」という同担当官。国交省は「ドライバーではなく下請け運送事業者であれば問題ない」という立場だが、厚生労働省はどうだろうか。

     京都労働局の職業安定部需給調整事業課では「個々のケースによって変わってくる」と前置きした上で、「実際に働いているドライバーが労働者なのか、下請け事業者なのかはわからない。裁判になったケースもあるようだが、両者が納得して下請け形態を取っているなら問題ないケースもあるはず」という。

     「下請けなら運送許可が必要うんぬんは、こちらの管轄ではないし、私自身もそういった法律関係を知らない。労働局ではそこまで把握をしていない」とも話す同担当官。「杓子定規にはいかない問題です」と話す。

     しかし、「契約上は個人事業主として契約しているが、あくまで内容はドライバーとしての労働者そのもの。労働者としての権利が阻害されている」と話すのは管理職ユニオン関西の交渉委員。「このような形態でないと仕事できないという以上、ドライバーに選択の余地がない。社会保険に入らないなどで浮いたコストが、ドライバーに還元されているわけでもなく、会社の利益になっているだけだ」とも指摘する。

     「昔なら、下請けに入って仕事を増やし、下請けを作るという事業拡大も出来たが、いまではそれも出来ないほど市場が冷え込んでいる」と話す同交渉委員。「運送会社も長期的に考えれば、きちんとした雇用契約を結んでおく方がいいが、目先の利益ばかりに走る運送事業者がとても多い」と訴える。

     「最近の傾向としては、正社員で雇うよりも、個人事業主として業務請負をさせる企業が増えている気がする」と指摘する同委員。しかし、「労働者には『相談に来てくれればいい』とは単純には言えない。相談に来れば経営者側は仕事をさせなくなる。痛しかゆしだ」という。(小西克弥)

     
     
     
     
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