「このままでトラック業界は悔しくないのか。その一点があるのかないか」。ある事業者はそう話す。トラック業界内部だけのことではあるが、徐々に「運賃制度を見直そう」といった機運が満ちてきた。しかし、業界が一枚岩になっているという雰囲気はない。事業者の見方の根拠は、「規制を見直したって運賃アップは無理。経済成長がなければ運賃は上がらない」という感覚だ。

　「業界はそういう産業構造を担ってきたし、今後もそれが期待されている」。兵庫県内の事業者はそう話し、規制を見直して業界の地位向上を目指そうとする立場を半ば否定した。

　別の事業者は「認可運賃制度があったから、運賃が高値だったのではない。運賃が高かったのは、昭和の時代にたまたま高度成長が重なったからだ」と指摘。規制を再び敷いて運賃の底上げをしようとする運動については、「ないよりはマシ」と捉える。

　これに対し、規制を内外に訴えかけようとする事業者の一人は、「実際に運賃が上がるかよりも、残業分も込みでしか請け負い仕事がないような業界では、あまりに悔しい。ドライバーらにも残業代をきちんと払える、胸を張れる産業にしたいということ」と話し、訴えかけは経済問題とは別のところにあるとの認識だ。（西口訓生）