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オートクルーズが居眠り運転誘発 心地よさがあだとなって
2011年2月9日
最近のトラックにはオートクルーズ機能という装置が装備されている。アクセルを踏まなくても設定した速度を保持して走行でき、特に大型トラックへの装備が多いようだ。昔は高級乗用車を中心に普及していたが、運転者の疲労軽減や省燃費運転のためにトラックにも広がりを見せている。しかし、アクセル操作が一切要らない「運転の心地よさ」が逆にあだとなって居眠り運転を誘発し、重大事故を引き起こす可能性も否定できないようだ。
昨年12月、早朝の5時、大阪府の運送会社の2トントラックが三重県の自動車専用道路である名阪国道(国道25号)の緩い上り坂を時速60キロで走行中、同90キロで走行してきた大型トラックに追突された。2トントラックは横転して側壁に衝突。運転者は奇跡的に助かったが、頭に8針を縫う大怪我を負った。警察の調べによると、追突してきた大型トラックの運転者は居眠りの状態で運転をしていたことが判明。また、オートクルーズ機能を使って走行していたこともわかった。
オートクルーズ機能を使用すると、道路の勾配にかかわらず、エンジンの回転数を自動的に調整して速度を一定に保とうとするため、ブレーキを踏むなどして同機能を解除しない限り、設定した速度が維持され続ける。
今回の事故では、2トン車を運転していた運転者が上り坂のため速度が落ちた状態で走行していた。そこにオートクルーズ機能を使い、居眠り状態となった大型トラックの運転者がオートクルーズ機能を解除できずに、90キロの速度のまま追突したという。
高速道路上で、オートクルーズ機能の使用による居眠り運転を原因とした事故は増加傾向にあるようだ。一昨年の8月にも岩手県の高速道路を大型トラックが時速80?で走行中、路側帯でタイヤ交換をしていた2人をはね死亡させた事故が発生している。トラックの運転者はオートクルーズ機能を使って居眠り運転で走行していたことがわかっている。
大阪府の運送会社でも、大型トラックの数台にオートクルーズ機能が装備されているが、今回の事故以来、同機能の使用を禁止した。社長は「最近、標準装備されてきているが、ハンドル操作だけで運転できるのも考え物。チェンジを入れて、クラッチを入れても長距離運行は漫然運転になりがち。オートクルーズ機能のメリットもわかるが、使用を誤れば逆に危ない」と話している。(大塚 仁)
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