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廃タイヤ処理の対応に苦慮 3月末で経過措置が失効
2011年3月10日
2年半ぶりとなる値上げに動揺が広がったトラック向けのタイヤだが、今度は廃タイヤの処理問題が波紋を広げている。産業廃棄物の収集運搬や処理許可を持たないタイヤ販売業者に対する経過措置が3月末で失効し、変わって4月1日からトラック事業者は廃タイヤを処理する場合、廃棄物処理法に基づいて収集運搬業者や処分業者などと書面による委託契約を交わす必要が出てくる。また、トラック事業者が「排出元」になるケースでは廃タイヤの適正な保管などに加え、マニフェストの交付・管理が求められることになる。
「広域的に処理することが適当かつ、環境大臣が指定した再生利用を目的とした産業廃棄物を適正に処理できる」ことを条件に、収集運搬および処理業許可を不要としてきた「産業廃棄物広域再生利用指定制度」。あらかじめ設けられていた経過措置が3月末に期限を迎えることで、4月からはタイヤの販売業者にも産業廃棄物の収集運搬許可が求められるようになる。わかっていたこととはいえ販売側のタイヤ業界は困惑の表情で、トラック業界の一部でも「3月からはタイヤの値段が上がるうえ、廃タイヤの引き取り料まで取られてはたまらない」との声が聞かれる。ただ、販売方法や交換場所などの違いによって今後、必要となる対応はケースバイケースのようだ。
例えば、自前の整備工場まで新品タイヤを届けてもらって自社で組み替え、古いタイヤは販売会社に引き取ってもらってきた運送会社のケース。この場合は、環境省によれば「運送会社が排出元で、マニフェスト交付などの手続きが必要。また、タイヤ業者も収集運搬許可を取得していなければならない」(産業廃棄物課)と説明する。
一方、多数派なのが「外部の整備場にトラックを持ち込んでタイヤを交換する」というパターン。この場合は「代金を払って廃タイヤを引き取ってもらえば運送会社が排出元になり、マニフェストの交付が必要になる。また、代金を受け取るタイヤ業者にも収集運搬許可が不可欠になる」と同課。ただ、「無償の下取り」ならトラック事業者が排出元にならないとのことで、煩わしい手続きを回避したいトラック事業者とすれば歓迎したいところだが、タイヤ販売業者とすればコストと手間がかさむことになるから厳しい話だ。
このほか、「タイヤ業者が新品タイヤを持って運送会社へ出向き、そこで組み替えした後に古いタイヤを引き取ってもらう」という例や、リトレッドタイヤを活用している現場もある。前者のケースは「新品も廃タイヤも自社製品であればタイヤ業者が排出元になる」(同課)とのことだが、リトレッドの場合は「有価物とならずに産廃の収集運搬許可が必要になることもある」というから判断は難しい。ともかく自社の状況を把握するとともに、早期の情報収集が必要だろう。(長尾和仁)
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