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道東道開通も利用は… 物流コスト削減で高速代削られ
2011年11月9日
東日本高速道路(NEXCO東日本)が建設を進めてきた道東自動車道の「夕張IC―占冠IC」間の約35kmが10月29日に開通し、道央圏と道東圏が高速道路で結ばれた。札幌から帯広までの運転時間が3時間程度となり、一般道の利用に比べ約80分短縮される。物流効率化や地域間の連携強化、交通障害発生リスクの減少などが期待され、一様に歓迎ムードだが、運送業界からはそのような声を聞くことが出来ない。道東道を使えば、日勝・狩勝峠を越える必要がなくなるため、ドライバーの大幅な負担軽減につながるが、「荷主が高速料金を負担しないので、走れない」というのが実態だ。
札幌市の運送会社は「道東道は使わない」と断言する。「物流コスト削減が叫ばれている時代に、荷主が高速代を新たに出してくれるはずもない。使うなら自社の負担となり、運行時間の短縮に数千円かけるか、ドライバーの給料を維持するかの選択になる」と話す。音更帯広ICから札幌南ICまで178.4kmの通行料金は、通常料金で中型車5000円、大型車6700円。ETCの各種割引を使っても中型車で2500?4150円、大型車で3350?5550円となる。同事業者は「ドライバーの負担と給料を天秤にかけ、うちは数千円を給料に充てる」と説明する。
「6月19日に終了した高速道路の無料化社会実験が再度始まるなら喜んで乗せるが、有料ならとても乗せられない」「冬場に日勝峠を越えるのはドライバーの負担が大きいので、峠の部分だけ走らせるという選択はあるかもしれないが、利益を削るだけで終わるだろう」など、道央圏の複数の事業者からは同様の声が多数聞かれる。
札幌市の別の事業者は「例えば、道央と道東間を24時間体制で何台も走らせる運行形態の仕事があれば、高速道路を使って運行の回転を上げ、効率化を図ることも可能だが、それだけの物量の仕事は恐らく今の北海道にはないはずだ」と指摘。「現状で高速代を負担してくれる『良い荷主』をつかまえている所は喜んでいるかもしれないが、荷主の業績が低迷したり、物流担当者がコスト削減策を打ち出してくれば、真っ先に削られるはずだ。今のところ、メリットは乗用車が高速に流れ、一般道の交通量が減るといったことくらいではないか」と話している。(玉島雅基)
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