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未払い請求で1000万円 事業者側は徹底抗戦へ
2011年11月22日
埼玉県の事業者は残業代の未払いがあるとして、辞めたドライバーから労働審判の申し立てを起こされた。同社への請求は約1000万円。しかし、同社長は納得せず、3回にわたる調停で徹底抗戦した。結果、解決金という形の支払いで解決をみた。同社社長は、「確かにこの業界は、労働時間など法定内での業務が難しく、拘束時間も長くなるが、だからといって、すべて残業代として支払う必要はない」と話している。
今年に入って突然、弁護士から未払い賃金の支払いを求める文書が届いた。そこには、同社を辞めたドライバーの名前が記されていた。同社長は、しばらくそのままにしていたが、その後、裁判所から労働審判の申し立てがあったことを伝える通知が届いた。労働審判を起こされた以上、放置はできないと覚悟を決めた社長は、徹底的に争う構えを見せた。「働かないものになぜ、給料を払わなければならないのか」という疑問からだ。元ドライバーの訴えは、残業代の未払いを請求するもので、その額は約1000万円にも上った。相手は、日報をすべてコピーし、拘束時間を割り出した上で、未払い分を計算。「ドライバーにそうした知識は皆無だった」ことから、すべて弁護士の助言のもとで作られていた。
確かに拘束時間は長く、法定内に収まる時間ではなかった。同社はその弱みを突っ込まれたのだ。「拘束時間をそのまま未払いとして計上されればバカ高い金額となる。そんな請求にこたえていたら会社はもたない」と話す社長は、デジタコのデータをもとに労働時間と休憩時間、そして休息時間の詳細を綿密にまとめた。そのうえで、労働審判の調停に臨んだ。
例えば、「朝の出庫の際、本来なら6時に出ればいいのに、4時に出発していた」とし、「相手は当然、2時間分の未払いを訴えていたが、それはおかしいと反論。6時の出発で大丈夫との証拠を渡し詳しく説明した」という。また、日報を盾に訴えたことを取り上げ、「本来、日報は会社が管理するもので個人が保有するものではない」とし、「個人が持っているのはおかしい」と指摘した。調停での風向きは、徐々に同社寄りに傾いていった。社長によると、「こちらが詳しく時間を管理して、ことこまかに説明していくと、相手はしどろもどろになっていった」という。
そして、3回目の調停で裁判官から和解を打診された。その結果、未払い分の支払いではなく、解決金として同社が50万円を支払うことで決着に至った。
「給料の未払いとして30万円は準備していたので、それくらいで解決するならばと応じた」という。「弁護士費用を払えば、本人にはいくらも残らないだろう」と話す同社長は、「労働時間を守れないという業界特有の弱みに付け込んで、弁護士を通じて未払い賃金を請求してくるケースが増えているというが、時間管理をしっかりとしていれば、決して怖くはない」と話している。(高田直樹)
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