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「24時間化」は必要か 神戸港のモデル事業に疑問
2011年12月14日
「ドレージ業者で24時間動いている事業者があるのか」。国際競争力強化をうたい文句に、国交省は2年ほど前から港湾分野で次々に「モデル事業」なる実験を繰り出している。10月末から神戸港限定で始まった「ゲートオープン24時間化モデル事業」はその一つで、ドレージ(コンテナ陸送)とコンテナターミナル(埠頭)との接点を24時間化し、いつでもターミナルでのコンテナ搬出入ができるようになるというもの。「ターミナルだけ24時間化しても、肝心のドレージ業者が休んでいては…」というのが冒頭の指摘だ。
「経団連など、荷主からの要望があった」。近畿地方整備局港湾物流企画室(神戸市)の山口直人室長は、何のためにターミナルとドレージの間を24時間化するのかとの本紙取材にそう答えた。今回の施策は、埠頭から外の船便に関する24時間化ではなく、あくまで国内物流に関するもの。昨年の経団連の要望に基づいて、他港ではまだ始まっていないものを神戸港でスタートさせたという。これとよく似た施策が一昨年から始まっている。国交省は09年12月から国内の6港(東京、横浜、名古屋、四日市、大阪、神戸)で、「ゲートオープン時間拡大モデル事業」という、別のモデル事業に着手。それまで港湾の労使協定で午後4時半と統一されていたターミナルとドレージの間の締め切り時間を午後8時まで延長した。
この事業での延長時間帯での利用実績は国交省によると、今年7月までの16か月間の合計が6港全体で1万3309本(搬出入コンテナ本数)。全体の3.1%だった。ターミナルの開門時間を8時間から11時間半に、時間を32%拡大して得られた結果の数字だ。
神戸市内のドレージ業者は、「ドレージ業者が営業していない時間にオープンさせてどうするのか」と話す。別の事業者は、「昼間のターミナル混雑を解消すれば夜間に開ける必要はない。夜間オープンは税金の無駄遣いではないか」と話している。(西口訓生)
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