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    確保難しい休息時間 非効率な運送で売り上げダウン

    2011年12月20日

     
     
     

    truck2_1219.jpg 「これまでのように働かせることなく、しっかりと給料だけは支払う…いまの労働行政が求めているのは、そういうことだろう」と、中国地区に本拠を構える運送会社の幹部は鼻息が荒い。それというのも同社は過日、労基署から「ドライバーの労働時間」について指導を受け、是正措置を講じるように求められたのを機に、運行スケジュールを大幅に変更した。ところが、「法律に合わせたことで売り上げは大幅にダウンし、徐々に資金繰りも逼迫。周辺では最近、うちの会社が危ないという情報まで飛び交っているようだ」と同幹部。「4時間以内という連続運転への対応も大変だが、もっと深刻なのは休息時間の確保。いまの状況で守ろうとすれば、ほとんどの中小・零細トラック事業者は潰れるだろう」とぶちまける。



     まとめて8時間、または分割して計10時間という「休息時間」をドライバーに与えることは、安全確保の面からも極めて重要なルールであることは間違いないが、それをトラック運送の現場で徹底することの難しさは、実務者ならだれもが熟知していることも確かだ。「労基署に目を付けられたらオシマイ」と話す運送関係者が目立つのも、こうした事情が背景にあるからだろう。

     中国地区から関東方面へ走る仕事がメーンという前出の運送会社は従来、「関東での荷下ろしが昼過ぎになるケースも少なくなかったが、その日の夕方には帰り荷を積んで帰路につかせていた」とのことで、「法が求める休息時間」をカウントする余裕はなかった。

     到着地での積み込みが翌日という決まった仕事がある場合などは別だが、効率よく帰り荷を引っ掛けようとすれば、労働時間の問題をクリアすることは至難の業になる。東京へ走る仕事も多いという別の事業者は「いまは西日本方面へのトンボ帰りはできない時代。信じられないと思うが名古屋や、大阪などで別の運送会社にバトンタッチすることも増えた」という。そうしたケースでは、もらい運賃である10万円弱を「折半もしくは『7対3』のように輸送距離に応じて配分する」というから驚かされる。

     一方、中国地方から大阪へ食品関係の輸送がメーンという事業者の場合は、「大阪へ到着して荷下ろしするのは深夜で、帰り荷の積み込みは翌日の夕方。会社へ戻るのは、さらに次の日へ日付が変わるころだから休息時間は完ぺきにクリアできているが、むしろ効率を高めるために関西で横持ちのような仕事を取りたい。ただ、その場合は休息時間の問題を考えておく必要はあるだろう」と話す。中国地方から東京、東京から北関東、その後に中国地方へ戻る行程を組む運送会社の社長も「休息部分は問題ないが、労働時間を全体で考えれば違法がないわけではない」と打ち明ける。

     労働行政のメスが入った前出の事業者によれば「時間を意識して自社便を走らせると非効率になってしまううえ、それを解決しようとすれば売り上げは大幅に減る」と嘆く。さらに「旧知の同業社長から『オマエところの評価点が急落している』との連絡が入った。取引銀行も売り上げが大幅に減っていることを指摘してくるが、運送の現場レベルでどうこうできる問題ではない」と頭を抱えている。(長尾和仁)

     
     
     
     
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