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事業者宛の郵便なくなる 運行管理者講習の通知
2012年6月25日
運行管理者が2年に一度受講することが義務付けられている一般講習で、受講を促す事業者宛の通知が今年度から郵送されなくなった。関係者によると、自動車事故対策機構が独占的に開催していた従来の体制を見直し、安全指導業務分野での民間参入を促すといった独立行政法人改革が影響している。事業者の間には、「通知がないことが原因で受講を忘れてしまったら大変なことになる」と警戒する動きも出ている。
「これまで通知は、各運輸支局長名で送っていた。民間開放すると、さすがにこの通知のやり方はマズイ」と、同機構の地方支所長は話す。一般講習の通知はこれまで、毎年度初めに事業者宛に通知されていたが、その差出人が各運輸支局名だった。しかし、自動車教習所など交通安全教育を本業とする民間事業者にも、運行管理者講習を開放する行政改革が閣議決定されたのが2010年12月。国交相に認定された機関なら、同機構でも民間会社でもどちらで受講してよいこととなった。
同機構の利益につながる講習通知を運輸支局長名で郵送し続けていれば、認定を受けた民間会社が運輸支局長に講習の通知を願い出ることも理論上は可能になる。支所長の指摘は、そうした公平性の担保のための非通知化だという意味だ。
だが、こうした行政の事情で、非通知化のあおりを受けることが考えられるのが運送事業者。ある事業者は、「万一の事故の時、運行管理者が講習を受けていなかったとなれば非常に困った話になる。ト協の会議でも周知させる必要がある」と話す。こうした事業者側の事情を考慮して、ある機構支所ではEメールによる通知を希望する事業者の受け付けを始めた。
機構関係者は「運輸支局長名による郵送がダメなら、従来の受講者名簿もあるのだから、同機構自身が差出人として郵送すればよいだけのこと。しかし、郵送を止める本当の理由は、経費の削減」と話す。この機構支所では、国からの運営費が削減されたことを受け、経費の削減を行っているという。
昨年、管内約3500件の事業者に郵送した費用はざっと28万円。ほかにも、講習会の会場もオフィス街にある支所近くの会議室を借りるのではなく、運輸支局に近い会館を借りるようにするなどの策を取っている。
事業者からはこうした事情について、「機構の経費削減には理解し不便さも甘んじるが、職員給与など本当にやるべきものをやったうえでのことなのかが不透明」といった、厳しい意見も聞かれる。(西口訓生)
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