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    PM「大陸由来」で混乱 ディーゼル排ガスと環境基準、因果関係は

    2013年2月20日

     
     
     

    43_0218.jpg 年明けから「大陸由来の大気汚染物質」が国民的関心事になっている。国内では、大気汚染はディーゼル車が元凶とされてから約20年が経過するが、真実はどうだったのかとする議論がトラック事業者から上がっている。一方で国や自治体レベルでは、さらにディーゼル車規制を継続する動きが、昨年暮れから今春にかけて進む。「大気汚染物質の犯人探しではなく環境基準を達成させるため」(自治体担当者)との錦の御旗は総論レベルでは納得せざるを得ないが、ディーゼルユーザーとしては汚名を晴らす機会をうかがう必要がありそうだ。



     尼崎市を中心にいまだ環境基準が未達成の地点が残り、ディーゼル車の運行規制が続く兵庫県。5日に開かれた環境審議会「ディーゼル自動車等運行規制あり方検討小委員会」での発言は次の通り。

     小谷通泰委員(神戸大大学院教授)「中国からPMが流れ込んでいる恐れがあり、観測したうえで発生源の区分はできるか」

     秋山和裕氏(県水大気課長)「なかなか難しい。PMの成分を分析し、シミュレーションすれば推定できると考えられる」

     西村多嘉子委員長(大阪商業大教授)「県民の意識はメディア等を経て深まっている。我々の仕事は、中国由来のPMを視野に入れる必要が大いにあり、大急ぎで研究を進める必要がある」

     小林悦夫委員(ひょうご環境創造協会顧問)「委員会としては、(ディーゼル運行規制が今後も必要とする)この報告書でいいのでは」

     西村委員長「小委員会としての報告書は、削除などはしないで、これで」

     小委員会が、運行規制を「継続する必要がある」と結論付けた日のやり取りだ。沿道の大気環境で環境基準が達成できないのは、道路近傍を走るディーゼル車由来のNOxやPMが原因だとしてきた従来の施策を疑う姿勢は、委員には微塵も見られなかった。大陸由来の黄砂が、国内のPMが減少しない原因ではないかとする傍証は一昨年あたりから次々に露見している。そして昨今は、「PM2.5が国内で基準値を超えた」「各自治体も独自に観測体制を整備している」との情報が乱れ飛んでいる。

     こうした状況を知った運送事業者は、「ディーゼル車由来のNOxやPMが大気環境悪化の原因かどうかが問われている昨今、ディーゼル小委員会のやり取りは規制をするという結論が先に設定されている」と話す。

     NOxやPMが国内のディーゼル車由来なのかどうかが疑われるのは、次のような事実による。例えば兵庫県の場合、2010年度の1年間に「NOx・PM法」対策地域内で自動車から排出されたNOx量は9587トン、PMは460.7トンだった。一方、県は03年にそれぞれの排出量の削減計画を立てた。NOxが年間1万2000トン、PMが431トン。この数値にまで自動車由来の排ガスを削減できれば、域内の環境基準は達成されるというものだ。数値を比べると、NOxは環境基準が達成されていなければならず、PMは未達成のはずだ。

     しかし現実は、NOxは域内の自動車排ガス測定局2局で未達成。一方のPMは全局で達成されている。本来の目的とされる環境基準の達成状況と、その手段と位置づけされる排ガス総量の削減状況に因果関係が少ないといえる結果だ。

     あるディーゼルユーザーは、「早急に大陸由来のNOx・PMの成分を調査し、その後に運行規制を再検討する必要があるのではないか」と話す。(西口訓生)

     
     
     
     
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