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ありがたくない繁忙期 車両不足で無茶な運賃値上げ
2013年5月13日
運送業界では人手不足とともに車両不足が深刻となっている。年末や年度末、ゴールデンウィーク前などの繁忙期に、配車担当者は車両確保に頭を痛めている。こんな中、車両不足を理由に運賃の値上げを行う運送会社も多い。運賃値上げのチャンスではあるものの、中には無茶な値上げを要求する悪質な事業者もいるようだ。
大阪市内で鋼材や建設資材を輸送する運送会社では、関東方面の長距離を中心に自車、傭車で対応している。このため、関東の事業者との取引も多く、普段から仕事の受け渡しなど互いに助け合っている。しかし、どうしても車両が見つからず荷主が提示する予算を上回ることもある。3000〜5000円、最悪1万円の値上げはやむを得ないと要望に応じることもあるようだ。利益が得られず赤字になることもしばしばで、同社にとっては「ありがたくない繁忙期」となっている。
同社社長は「景気が上向いて仕事が増えることはありがたいが、中小・零細企業まで好景気の波は訪れておらず、荷主企業の大半は現状維持の運賃しか支払えない状態。元請けを行っている限り、荷主の要望通りトラックを見つけることが必要だが、当社でも大型ドライバーの減少で大型トラックの台数が減っている。また、全国的にも大型車をはじめ車両が不足しているため、他社とトラックを出し合い助け合っている。どうしても見つからず、予算より若干上回る場合は仕方なく応じるが、1回の運行で5万円の上乗せを要望する事業者もいた」と話す。
「以前から取引があったが、ここまで暴利をむさぼる事業者とは思わなかった。荷主には、無理に車両を探すことは暴利を求める運送会社の思うツボだと告げ、可能であれば連休後の出荷を勧めている。多少の運賃値上げはやむを得ないが、閑散期になった時、この運送会社だけは絶対に使わない。運賃値上げはいいことだが、無茶な値上げは業界のイメージが悪くなる」と語った。
車両が不足する時間帯を見計らう事業者もいる。午前9時〜同10時30分、午後3時〜同4時30分が車両確保の勝負時間で、確保できなければ、その日の運送が困難となる。そのため、どこの運送会社も車両確保に勝負をかける。あえて車両を出さずにぎりぎりまで無理な運賃を告げ、困っている運送会社から暴利をむさぼるというのだ。(佐藤弘行)
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