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未払い賃金問題 雇い雇われの立場逆転
2013年10月17日
運送業界や一般企業でも、景気低迷していた時期には従業員がリストラやパワハラなどで退職に追い込まれるという厳しい扱いを受けた経緯がある。しかし現在、行政による厳しい監視、弁護士や司法書士による未払い賃金などを巡る裁判も発生し、雇う側と雇われる側の立場が逆転している感がある。
大阪市に本社を構えるA社では、ドライバーが退社後、弁護士に依頼して未払い賃金の請求をしてきた。会社側も就業規則・36協定、賃金体系を大手損保所属の社労士に作成してもらっているため、未払いは発生していないとして裁判に持ち込んで争う姿勢を示した。このため、社内でも会議を開き、様々な対応を同社のドライバーらにも話したところ、一部のドライバーから訴えを起こしている弁護士に情報が漏えいしていた疑いがみられた。同社では原告側が知りえない情報が漏えいしていることから、社内情報を漏えいしている従業員の存在を把握した。
同社社長は「一部のドライバーは、裁判の結果で未払い賃金が支払われることを意識して、会社側の動きを全て原告の関係者に伝えている。このため、当社では、あえて違う情報を流して、相手側に混乱を起こさせるようにしている」と語る。
また、「『会社を守ろう』と言う精神のない従業員が存在することは非常に残念だが、協力してくれる従業員らとともに今後は取り組む」と裁判で争う姿勢を見せた。
大阪府堺市のB社では、毎日の勤務時間をメモするドライバーの存在が明らかになっている。以前からドライバー同士で、勤務時間が長いことを理由に、未払い賃金を請求するため、毎日メモに取っていたようだ。同社では拘束時間が長くならないように対応し、また、専門家の意見を採り入れたり、さらには労基署の指導を受けるなど、必死に対応しているようだ。
同社社長は「当社では2年前から労基署への駆け込みや立ち入り調査も発生した。中には労務問題に詳しい人物を連れての金銭の請求もあったが、専門家を雇い入れて対応してきた。現在でも長距離輸送を行っており、一部では拘束時間が長くなることもあるが、荷主側からの要請なので断ることは困難。会社側としては、ドライバーから問題を問いただされないよう対応していくしかない」と語った。
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