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高齢ドライバーを積極的に採用 助成金も活用
2014年1月16日
運送業界ではトラック運転者不足が深刻化しているが、中型免許制度などの影響で特に若手の運転者は集まりが悪いという声は多い。そんな中、運送会社の中には、若手の採用はあきらめ、経験のある高齢ドライバーを積極的に採用しようとする動きが出てきている。「高齢者は安全運行で、黙々と働いてくれる。人件費の面でも助かる」とメリットを強調する大阪の運送会社社長。高齢ドライバー採用は今後、広がる可能性がありそうだ。
運転者の平均年齢が60歳前後という会社も珍しくなくなってきた運送業界。長距離輸送を行う大型トラック運転者ではその傾向が顕著で、若い人材を採用するのは年々難しくなっているのが現状だ。車両30台で事業展開している大阪の運送会社では、ドライバーが高齢化している現状を逆手にとって昨年から高齢ドライバーを積極的に採用し始めている。求人広告に年齢制限を記さずに大型トラックの運転者を募集したところ、応募が殺到するという。応募者はほとんど65歳以上の高齢者。昔、トラックに乗務した経験のある元タクシー運転者や元大型バス運転者が中心。多くが60歳の定年後、5年ほど嘱託で働いていた。体力的にはまだ自信があり、年金受給だけでは将来の不安を感じている人たちだ。
同社では既に10人の高齢ドライバーを採用した。現在、地場運行から中距離、長距離運行まで走っているが、今のところ業務に支障はまったくないという。むしろ、安全面や給与面などでメリットは大きいとする。
当然、高齢者なので体力的に、また時間的に無理はさせられない。扱う荷物は手積み荷物ではなく、パレット貨物に限定している。全員がアルバイトの契約で、勤務時間は正規社員の4分3程度。厚生年金保険や社会保険は1日の所定労働時間が、一般社員の4分の3未満であれば加入する義務がない。同社では、多くの高齢ドライバーを正社員より短い時間で働かせることで、社会保険の負担を大幅に軽減させているという。
運送会社社長は「皆、昔取った杵柄で安全運転を心掛け、事故がない。長距離でも今の若い人は午後8時を過ぎたら全線高速を要求してくるが、進んで一般道を走ってくれ、会社側の立場に立ってくれる」と高齢ドライバーを絶賛。「70歳まで走ってもらえるのでは」と戦力としての期待は大きい。
また、「運転免許の問題、長時間労働、低賃金の問題など若い人にとって運送業は魅力のないものと映っており、人材確保がますます難しくなってきている。今使える人材を有効に活用していく方法を探っていくしかない」と強調する。同社では高齢者を雇用することで受けられる助成金制度も積極的に活用している。
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