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SAS 運送業との因果関係は
2014年4月10日
3月3日の早朝、北陸自動車道で起きた、夜行バスが大型トラック2台に衝突した事故は記憶に新しい。そして、平成24年に起きた関越自動車道高速ツアーバス事故では、同月25日に前橋地裁は判決を言い渡し、弁護側が主張した「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)の影響は裏付けがないとして退けた。しかし、SASとの因果関係が完全に払拭されたとは考えにくい。この二つの事故に起因すると言われているSASについて、改めて認識する必要性がありそうだ。
国内で大きく取り上げられたSASの事故としては、JR山陽新幹線運転士が約8分間、居眠りしたまま最高で時速約270キロで走っていた例がある。この時は、列車自動制御装置(ATC)が作動して自動的に停車し、ことなきを得た。しかし遡ると、スリーマイル島原子力発電所事故やチェルノブイリ原子力発電所事故、スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故など、SASが原因の一つとして推定されている事故が数多く存在しているのも事実だ。名古屋市で呼吸器系を専門とする、ごうクリニックの伊藤剛医師にSASについて聞いてみた。「医学的には10秒以上の呼吸停止が『7時間の睡眠で30回以上ある場合、もしくは1時間に5回以上無呼吸や低呼吸数が5回以上の場合』は、SASと診断される」と話す。
日本では、SASの症状がある人は推定200万人といわれており、肥満傾向にある30?60代の男性が多い。また、日本人は軽度な肥満であっても、骨格に問題があり、SASになりやすいという分析もある。
「SASを治療せずに放置していると、生命に危険を及ぼす場合がある」と伊藤医師は警鐘を鳴らす。睡眠不足による居眠り運転などの要因だけではなく、高血圧や糖尿病、不整脈などにも関わってくるという。
また、ドライバーの視点からいえば、高速道路を80キロで走行している場合、3秒間居眠りすることで約70メートルも進むので、大事故につながるリスクが潜んでいる。簡易検査によると、精密検査が必要になる運送事業の従事者は一般人に比べると、約3倍多くいることがわかったという。原因としては?不規則、長時間勤務による睡眠障害?前記?によって起こる不規則な食事による肥満──などが考えられる。
伊藤医師は「SASはある意味、飲酒運転よりも怖いと言われているが、確立した検査を受け、マウスピース療法やCPAP療法、手術などの治療を受けてコントロールさえできれば、安心して運転できる」と話し、「本人がSASと気付くことは少ないので、パートナーや家族が異変を感じたら、速やかに検査を受けるように勧めてほしい」と呼びかける。
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